2社間ファクタリングが拡大してきた最大の原動力は、金融そのものではなく広告である。即日資金化、審査不要、赤字でも可。こうした表現が大量に流通し続けてきたにもかかわらず、2026年新春の時点でも広告規制が本格的に機能しているとは言い難い。この事実は、単なる規制の遅れでは説明できない。
広告が許されているのではなく、規制の対象外に置かれてきた
まず整理すべきなのは、2社間ファクタリングの広告が「黙認されている」という理解は正確ではない点だ。より正確には、広告規制の射程から意図的に外されてきたという表現が近い。
貸金業広告であれば、誇大広告や誤認表示は明確に規制される。しかし2社間ファクタリングは、形式上は債権売買であり、貸付ではない。この一点によって、金融広告としての厳格な規制枠組みから外れた状態が続いてきた。
結果として、金利に相当する手数料を示さずとも、即日性や通過率だけを強調する広告が成立してしまった。
比較サイトという「規制を回避する装置」
広告が存続しているもう一つの理由は、比較サイトの存在だ。比較サイトは広告主ではなく「情報提供者」を名乗ることで、直接的な広告責任を回避している。実態が送客ビジネスであることは周知の事実であっても、形式上は中立を装える。
この構造は極めて巧妙だ。業者は直接的な強い表現を避け、比較サイトに露出を委ねる。比較サイトはランキングやおすすめという形で誘導する。結果として、広告的効果は最大化されながら、誰も広告主としての責任を全面的に引き受けない。
広告が「許されている」というより、責任が分解され、誰も処罰対象にならない形に再設計されたと見る方が現実に近い。
ステマ規制が効きにくい理由
ステルスマーケティング規制が導入された後も、2社間ファクタリング周辺の情報環境は大きく変わっていない。その理由は、明確な「被害商品」として認定しにくいからだ。
利用者は資金を受け取り、契約も成立する。直後に問題が表面化するとは限らない。破綻は数か月後、あるいは数年後に別の形で現れる。この時間差が、広告と被害の因果関係を曖昧にする。
結果として、ステマ規制は存在しても、適用されにくい分野となった。
行政にとって優先順位が低いという現実
広告が放置されてきた理由を、行政の怠慢だけで説明するのは正確ではない。行政は常に優先順位の中で動く。明確な違法性、即時性の高い被害、社会的な炎上。この三点が揃わない限り、大規模な是正は行われにくい。
2社間ファクタリングは、そのいずれにも当てはまりにくい。違法とは断定されず、被害は分散し、声は個別に消えていく。この性質が、広告規制の優先度を下げ続けてきた。
広告が止まらない最大の理由は「止めた後」が見えないこと
最後に触れておくべきなのは、広告を止めた後に何が起きるのか、という問いだ。広告が消えれば、資金繰りに窮した事業者は別の手段を探す。より不透明な手法へ流れる可能性も否定できない。
この懸念が、結果として「完全に止める」判断を鈍らせてきた側面は否めない。広告規制が、問題解決ではなく問題の地下化を招くのではないか。この躊躇が、曖昧な運用を長引かせている。
2026年新春時点での結論
2社間ファクタリングの広告は、許されているのではない。誰の責任として止めるのかが決まらないまま、制度の隙間に置かれ続けている。この状態が続く限り、表現は変われど、広告そのものが消えることはない。
問題は広告表現の過激さではない。広告が成立してしまう構造そのものだ。そこに手を入れない限り、2026年以降も同じ議論が繰り返されるだろう。

