2社間ファクタリングの問題が語られる時、矛先はほぼ必ず業者に向く。手数料が高すぎる、実質貸付だ、脱法金融だ、合法ヤミ金だ。どれも事実だが、2026年時点でそれを何年言い続けても、市場は一切縮んでいない。
なぜか。
理由は単純で、業者を叩いても、市場のエンジンには一切触れていないからだ。
業者は「原因」ではなく「結果」でしかない
まず冷静に整理しておくべきことがある。
2社間ファクタリング業者は、この市場の原因ではない。結果である。
・銀行に行けない
・保証協会も使えない
・リスケの時間もない
・資産売却の余裕もない
この状態の事業者が大量に存在する以上、「即日で金を出す業者」は必ず湧く。業者を一社潰しても、別の業者が出てくるだけだ。なぜなら、需要が消えていないからである。
つまり、業者規制だけでは市場は止まらない。供給側ではなく、需要を発生させている装置を止めない限り、構造は一ミリも変わらない。
本当の元栓① 比較サイトという送客インフラ
最初に潰すべきなのは、間違いなく業者ではない。
比較サイトという送客インフラである。
2社間ファクタリング市場がここまで拡大した最大の要因は、「誰でも簡単に業者に辿り着ける構造」が完成してしまったことだ。昔なら、こうした業者は口コミか紹介でしか辿り着けなかった。今は違う。検索すれば、ランキング形式で即表示される。
しかもそれらは中立を装っている。実態は広告なのに、「おすすめ」「厳選」「比較」という言葉で、意思決定を一気に単線化させる。
ここが止まらない限り、業者は潰しても潰しても再生産される。なぜなら、送客さえ続けば、事業として成立してしまうからだ。
本当の元栓② 「審査なし・即日」という言葉の野放し状態
次に潰すべきなのが、広告表現そのものだ。
2社間ファクタリングは貸金業ではないという建前のせいで、「審査なし」「誰でもOK」「即日」「赤字可」「税金滞納可」といった表現が、ほぼノーガードで拡散されている。
これは金融として異常な状態だ。本来、審査がない金融商品など存在してはいけない。それは金融ではなく、時間と将来を前借りさせる装置でしかない。
しかし現実には、この異常な表現が、比較サイト・広告・SNSを通じて大量流通している。この言葉が消えない限り、市場は止まらない。なぜなら、追い込まれた人間にとって、この言葉ほど強い麻薬はないからだ。
本当の元栓③ 銀行とノンバンクの「見て見ぬふり」
もう一つ、あまり語られない元栓がある。
それが、銀行とノンバンクの沈黙だ。
建前上、金融機関は2社間ファクタリングを推奨していない。しかし実務上はどうか。資金繰りが厳しい会社に対して、「うちは無理ですね」で終わらせ、その後に何が起きているかを一切フォローしていない。
結果として何が起きているか。
銀行に断られた会社は、ほぼ自動的に比較サイトへ流れ、2社間ファクタリングに吸い込まれる。この流れを、金融機関は全員知っている。それでも止めない。なぜなら、その会社が2社間ファクタリングで延命してくれた方が、自分たちの不良債権処理が先送りできるからだ。
これは共犯関係に近い構造だが、誰もそこを問題にしない。
なぜ業者規制だけが「やった感」になっているのか
ここまでの元栓に一切触れず、業者だけを叩くのは、はっきり言って「やった感」の演出にすぎない。
・悪質業者を摘発しました
・手数料上限を設けました
・登録制にしました
こうした施策は、見た目は派手だが、本質には一切届かない。なぜなら、送客インフラが生きている限り、広告表現が野放しの限り、銀行が沈黙している限り、新しい業者がそのルール内で量産されるだけだからだ。
これは、闇バイトの元締めを捕まえずに、末端だけを捕まえ続けている構図とまったく同じである。
結論 本当に潰すべきなのは「入口」である
このテーマの結論は明確だ。
2社間ファクタリング市場を本当に止めたいなら、最初に潰すべきは業者ではない。
比較サイトという送客装置であり、
「審査なし・即日」という広告表現であり、
銀行とノンバンクの沈黙という共犯構造である。
この三つが残っている限り、業者を何社潰そうが、市場は一切止まらない。むしろ、規制をすり抜けた業者だけが生き残り、より不透明で、より高コストで、より見えにくい市場へと進化していくだけだ。
業者は「悪役」として分かりやすい。
しかし本当の元栓は、もっと地味で、もっと都合が悪い場所にある。
そこに手を突っ込まない限り、2社間ファクタリングは、今後も「合法ヤミ金」という呼び名を変えながら、生き延び続ける。

