2社間ファクタリング市場は、2026年時点でも拡大を続けている。問題点は出尽くし、被害も静かに積み上がっている。それでも止まらない。この状況を前にして、「この市場は本当に終わることがあるのか」という疑問を持つ人も多いはずだ。
結論から言えば、終わる可能性はある。ただし、それは自然消滅ではない。終わる時には、必ず“兆候”が先に現れる。しかもその兆候は、業者規制よりも、もっと地味で、もっと現実的な場所から始まる。
兆候① 比較サイトの“言い回し”が一斉に変わり始める
最初に現れる兆候は、法律改正でも行政通達でもない。比較サイトの文言が変わり始めることだ。
具体的には、これまで当たり前だった「審査なし」「即日」「誰でもOK」「赤字可」「税金滞納可」といった言葉が、徐々に消えていく。代わりに、「条件あり」「要相談」「資金繰り改善の一手段」といった、妙に歯切れの悪い表現が増えていく。
これは、業者側の自主規制ではない。広告代理店とメディア側が、「この表現、そろそろヤバくないか」という空気を察知し始めたサインだ。行政指導や摘発が本格化する前に、一番敏感な送客インフラが、先に逃げ始める。
この兆候が出た時点で、市場の空気はすでに変わっている。表では何も起きていなくても、水面下では「この商売、長くないかもしれない」という共通認識が広がり始めている。
兆候② 金融機関が「黙って切る」動きを始める
次に来る兆候は、銀行とノンバンクの態度の変化だ。
これまで金融機関は、建前上2社間ファクタリングを推奨せず、実務上は見て見ぬふりをしてきた。だが市場が終わる前には、このスタンスが変わる。正確には、「公式に否定する」のではなく、裏で静かに距離を取り始める。
・2社間ファクタリング利用歴がある会社を、内部スコアで一律マイナス評価にする
・条件変更や新規融資の審査で、理由を言わずに落とす
・「他の手段を検討してください」という曖昧な誘導を始める
こうした動きが複数の金融機関で同時多発的に始まった時、市場は一気に縮む。なぜなら、2社間ファクタリングの最大の価値は「銀行に戻れるかもしれない」という希望に支えられているからだ。
その希望が完全に潰れた瞬間、この商品は「ただの高コスト延命装置」に成り下がる。金融機関が本気で距離を取り始めたら、それは終わりのカウントダウンが始まった合図だ。
兆候③ 「個別トラブル」が「社会問題」に格上げされる
三つ目の兆候が、いちばん分かりやすいが、実際に起きるまで時間がかかる。
それは、これまで「よくある資金繰りトラブル」として処理されていた個別案件が、メディアや国会で“社会問題”として扱われ始めることだ。
具体的には、こんな形だ。
・2社間ファクタリング絡みの倒産が、ニュース記事で実名報道される
・弁護士会や税理士会が、公式声明を出す
・国会で「実質貸付ではないのか」という質問が繰り返される
・消費者金融と同じ枠で議論され始める
ここまで来ると、もはや「静かに放置する」選択肢は消える。行政も政治も、「何もしない」という姿勢を取り続けるコストの方が高くなるからだ。
ただし、ここまで行く頃には、市場はすでにかなり荒れている。悪質業者の乱立、トラブルの激増、比較サイトの撤退、金融機関の締め出しが同時に起き、事実上の崩壊状態に入っている可能性が高い。
なぜ「兆候」からしか終わらないのか
ここで重要なのは、この市場が、ある日突然「規制されて終わる」タイプのものではないという点だ。
2社間ファクタリングは、あまりにも多くの利害関係者に支えられている。業者、比較サイト、広告代理店、金融機関、行政、税務当局。誰か一人が「やめよう」と言っても止まらない。だからこそ、終わる時には、周辺インフラからじわじわ壊れていく。
比較サイトが逃げる。
金融機関が距離を取る。
メディアが火をつける。
この三段階が揃った時、市場は初めて「終わり」に向かって動き出す。
結論 兆候が見えた時には、もう引き返せない
このテーマの結論は、かなり冷たい。
2社間ファクタリング市場が本当に終わる時には、必ず三つの兆候が先に現れる。そしてその兆候がはっきり見える頃には、市場はもう後戻りできない段階に入っている。
・比較サイトの文言が一斉に変わる
・金融機関が黙って切り始める
・個別トラブルが社会問題に格上げされる
この三つのうち、二つが同時に見え始めたら、その市場はもう長くない。逆に言えば、今この三つがまだ本格的に起きていないという事実こそが、2社間ファクタリングが2026年時点でも生き延びている最大の理由でもある。
終わるかどうかは、誰にも分からない。
だが、終わる時の「形」だけは、かなりはっきりしている。

