まず前提として、市場は自然には終わらない
2社間ファクタリングは、いずれ自滅するのか。
多くの人が、どこかでそう期待している。
しかし、現実は逆だ。
この市場は、自然死する構造をしていない。
なぜなら、2社間ファクタリングは「景気が悪い時」ではなく、「資金繰りが詰んだ瞬間」に発生する需要を食べて成り立っているからだ。
企業倒産が増えようが減ろうが、銀行審査が厳しかろうが緩かろうが、一定数の「もう選択肢がない会社」は必ず生まれる。
この時点で、2社間ファクタリングは景気循環に左右されない。
むしろ、不況局面ほど需要が安定するという、極めて歪んだ耐久性を持っている。
つまり、この市場は「放っておけば終わる」タイプの市場ではない。
意図的に止めに行かない限り、合法ヤミ金、脱法金融に近い形のまま、何年でも延命し続ける。
規制では止まらない理由が、すでに揃っている
では、法律で止められるのか。
答えは、ほぼ不可能に近い。
なぜなら、2社間ファクタリングは、意図的に「規制がかからない形」で設計されているからだ。
売掛債権の売買という建付けにしておけば、貸金業法は原則として適用されない。
利息制限法も、出資法も、形式上はすり抜けられる。
しかも、金融庁も国会も、この市場を本気で潰すインセンティブを持っていない。
規制に動けば、中小企業の資金繰り悪化を助長したという政治リスクを背負うことになる。
その一方で、放置しても表向きの被害件数は可視化されにくい。
結果として、2社間ファクタリングは「違法ではないが、限りなく違法に近い金融」という、最も厄介なゾーンに固定されている。
この構造が変わらない限り、制度的なブレーキは期待できない。
業者を潰しても、市場は一ミリも止まらない
次に出てくるのが、「悪質業者を取り締まればいい」という発想だ。
しかし、これはほぼ無意味に近い。
なぜなら、この市場の本質は、特定の業者ではなく「モデル」そのものにあるからだ。
一社が行政指導を受けようが、倒産しようが、翌週には別名義の会社が同じスキームで復活する。
必要なものは、資金、広告運用のノウハウ、簡単な審査フローだけで、参入障壁は異常なほど低い。
つまり、業者単体を潰すやり方は、モグラ叩きにすらなっていない。
叩くたびに、同じ穴から、同じサイズのモグラが出てくるだけだ。
この市場は、もはや「誰がやっているか」ではなく、「この仕組みが儲かる限り、誰かが必ずやる」段階に入っている。
現実的に止められるポイントは、実は一箇所しかない
では、どこで本当に止められるのか。
結論から言えば、止められる可能性があるのは、広告と送客の入口しかない。
なぜなら、2社間ファクタリング業者は、自分たちで需要を生み出していないからだ。
彼らが依存しているのは、検索広告、比較サイト、アフィリエイト記事、SNS広告といった「外部の集客装置」だ。
ここが詰まれば、業者は一気に干上がる。
具体的には、
「即日資金調達」「審査なし」「ブラックOK」「銀行に断られても可」
といった、明らかに誤認を誘う広告表現が、本当に広告審査で通らなくなること。
ランキング形式の比較サイトが、ステマ規制や景表法の観点から、明確にアウト扱いされること。
送客ごとに数万円の成果報酬が発生するアフィリエイトモデルが、プラットフォーム側の規約で締め出されること。
この三つが同時に起きれば、市場規模は一気に縮む。
逆に言えば、ここが温存されている限り、業者を何社潰しても意味がない。
実は「止める力」を持っているのは、国家ではない
ここで、さらに不都合な事実がある。
この市場を本当に止める力を持っているのは、金融庁でも、国会でも、警察でもない。
実際には、Google、Yahoo、Meta、LINE、各種アフィリエイトASP、そして比較サイト運営会社だ。
彼らが広告を止めれば、その瞬間に市場は干上がる。
彼らが送客を止めれば、業者は顧客を失う。
つまり、2社間ファクタリング市場の実質的な規制主体は、国家ではなく、広告プラットフォームだということになる。
これは皮肉でも何でもない。
現実に、オンラインカジノ、違法CBD、情報商材、副業詐欺といった分野は、すでに「法改正ではなく広告締め出し」で事実上の壊滅状態に追い込まれている。
2社間ファクタリングだけが、なぜかこの流れから取り残されている。
結論:止められる場所は、最初から決まっている
では、どこで本当に止められるのか。
答えは、最初から一つしかない。
広告と送客の入口だ。
法律では止まらない。
業者摘発でも止まらない。
業界団体の自主規制でも止まらない。
止められるとしたら、
「この市場に流れ込む新規顧客の蛇口」を締めるしかない。
そして、その蛇口を握っているのは、国家でも行政でもない。
検索エンジンと広告プラットフォームと、比較サイト運営者たちだ。
この現実を直視しない限り、2社間ファクタリングは、これからも合法ヤミ金、脱法金融に限りなく近い形のまま、「誰にも止められない金融」として拡大し続ける。
だから次に問うべきなのは、「規制すべきかどうか」ではない。
「誰が最初に、この入口を閉じる覚悟を持つのか」だ。

