比較サイト運営者は、どの瞬間に“共犯”になるのか──2社間ファクタリング市場の送客装置という現実

ファクタリングのトラブル

まず結論から言うと、「悪意」はほとんど関係がない

比較サイト運営者は、どの瞬間に“共犯”になるのか。
この問いに対して、多くの人は「虚偽を書いた時」「危険性を隠した時」「特定業者と癒着した時」と答えるだろう。

しかし、現実はもっと単純で、もっと残酷だ。
この市場において、共犯ラインを越えるかどうかは、意図や道徳心の問題ではない。
構造上、ある地点を越えた瞬間に、誰でも自動的に“共犯側”に回るように設計されている。

そして、そのラインは思っているよりも、はるかに手前にある。

「情報提供サイト」を名乗った時点で、すでに半分アウト

多くの2社間ファクタリング比較サイトは、自分たちを「中立的な情報提供メディア」だと位置づけている。
業者を選ぶための判断材料を整理し、メリットとデメリットを公平に載せ、利用者が自己責任で選択できるようにしている、という建付けだ。

しかし、この時点ですでに大きな欺瞞がある。

なぜなら、2社間ファクタリングという商品自体が、そもそも「比較して選ぶべき商品」ではないからだ。
手数料が20%でも30%でも、実質的にはどれも合法ヤミ金、脱法金融に限りなく近い構造をしており、業者ごとの差は「どれだけ長く延命できるか」程度しかない。

それにもかかわらず、「おすすめランキング」「人気順」「審査が甘い順」といった形で並べた瞬間、
その行為自体が「これは選ぶ価値のある金融商品です」というメッセージになる。

この瞬間、比較サイトはすでに単なる情報提供者ではなく、需要を正当化する装置に変質している。

成果報酬型モデルに足を踏み入れた瞬間に、ラインは完全に越える

次に来る決定的なラインが、成果報酬型のアフィリエイトモデルだ。

2社間ファクタリング業者の多くは、
「申込1件いくら」
「契約成立で数万円」
という形で、比較サイトに報酬を支払っている。

この時点で何が起きるか。

比較サイトは、
「できるだけ安全な情報を届ける主体」ではなく、
「できるだけ多く申し込ませる主体」になる。

ここから先は、意識していなくても構造的に歪む。

・手数料が高い業者ほど、報酬単価が高い
・強引な営業をする業者ほど、成約率が高い
・リスクが高い利用者ほど、通過しやすい業者に流した方が儲かる

つまり、最も危険な業者ほど、最も“紹介したくなる”設計になっている。

この瞬間、比較サイトはもう「第三者」ではない。
完全に市場の内部プレイヤーだ。

「注意喚起ページ」を置いた瞬間に、むしろ共犯性は強化される

ここで、多くの運営者がやっている自己防衛がある。
それが、「2社間ファクタリングの危険性」「利用前に知っておくべき注意点」といったページを別途用意することだ。

一見すると、これは誠実な行為に見える。
しかし、構造的には逆効果に近い。

なぜなら、その注意喚起ページは、ほぼ例外なくこう締めくくられるからだ。
「リスクを理解したうえで、信頼できる業者を選びましょう」
「慎重に比較して、あなたに合った会社を見つけましょう」

そして、その直後に、ランキング表と申込ボタンが置かれる。

これは、免罪符の発行装置として完璧すぎる構造だ。

利用者は、
「危険性も理解した」
「ちゃんと調べた」
「注意点も読んだ」
という心理状態で、より安心して申し込むことができる。

結果として、注意喚起ページはブレーキではなく、アクセルとして機能している。

この時点で、比較サイトは「危険性を伝えている側」ではなく、「危険性を中和している側」だ。

共犯ラインの本当の正体は、「引き返せない導線」を作った瞬間

では、比較サイト運営者は、どの瞬間に“共犯”になるのか。

答えは意外とシンプルだ。

それは、
「ここまで来たら、もう申し込むしかない」
という心理導線を完成させた瞬間
だ。

具体的には、
・「審査が甘い順」「即日入金率順」といった不安を煽る並び替え
・「今すぐ資金調達」「本日中に間に合う」といった焦燥コピー
・ 申込ボタンの連打配置
・ 他の選択肢(融資、リスケ、専門家相談)を意図的に載せない構成

このどれかを入れた時点で、そのサイトはもう「比較」ではなく「追い込み」になっている。

この瞬間、運営者がどう思っていようと関係ない。
結果として、利用者を合法ヤミ金、脱法金融に限りなく近い商品へと押し込む装置になっている以上、構造的には完全に共犯だ。

結論:共犯になるのは、嘘をついた時ではない

比較サイト運営者は、どの瞬間に“共犯”になるのか。

それは、
虚偽を書いた時でも、
業者と癒着した時でも、
危険性を隠した時でもない。

本当のラインは、
「この市場に新規顧客を流し込む構造」を完成させた時だ。

意図がどうであれ、
理念がどうであれ、
善意がどうであれ、
そのサイトが「送客装置」として機能し始めた瞬間に、もうアウトだ。

そして、もっと厳しい現実がある。

今、2社間ファクタリング比較サイトを運営している時点で、
ほぼすべてのサイトは、すでにこのラインを越えている。

だから次に問うべきなのは、
「比較サイトは悪か」ではない。
「どこで撤退する覚悟があるのか」だ。

撤退しない限り、そのサイトはこれからも、
合法ヤミ金、脱法金融に限りなく近い市場の共犯インフラとして、静かに機能し続ける。