まだ使っていない人専用・現実的回避マニュアル
正直に言います。2社間ファクタリングを使うくらいなら、取引先や支払先に事情を話して待ってもらう方が、経営としてはよほど合理的です。
恥ずかしいとか、信用を失うとか、そういう感情の問題ではなく、純粋に「どちらが会社を長く生かせるか」という損得の話です。
多くの経営者は、支払いを遅らせることよりも、ファクタリングを使うことの方が“マシ”だと思い込まされています。
でも実際には、その逆です。
ファクタリングで払う手数料は、見た目以上に重く、しかも一回限りで終わらない構造になっています。
取引先が一社抜ける損失と、ファクタリング手数料の現実を比べてみる
仮に、100万円の売掛金を2社間ファクタリングに出したとします。
手数料が20%なら、手元に入るのは80万円です。
この瞬間に、あなたの会社は何の対価もなく20万円を失っています。
この20万円は、広告では「スピード代」「利便性の対価」と言い換えられますが、経営実態としてはただの資本流出です。
しかもその売掛金は本来、満額で入ってくるはずだったお金です。
つまり、未来の現金を前借りしたうえで、さらに罰金を払っているのと同じ構造です。
一方で、取引先に事情を話して支払いを一か月待ってもらった場合、失う金額はゼロです。
関係が悪化するリスクはありますが、キャッシュそのものが消えるわけではありません。
ここで多くの人が見落としているのは、「取引先が一社抜ける損失」と「ファクタリング手数料の損失」は、同じ土俵で比べられるという点です。
年間で一社取引が切れたとしても、その粗利ベースの損失が20万円や30万円なら、ファクタリングを一回使う方がむしろ高くつくケースは普通にあります。
支払いを待ってもらうのは“信用の崩壊”ではなく“信用の使い方”
「待ってもらうなんて言ったら、もう終わりだ」と思っている人が多すぎます。
でも、現実はそこまで単純ではありません。
長く付き合っている取引先ほど、「何も言わずに突然飛ぶ」方が一番嫌がります。
逆に、状況を説明して、具体的な支払計画を出したうえで頭を下げれば、意外と待ってくれるケースは珍しくありません。
ここで重要なのは、感情論ではなく“設計”です。
「今月は厳しいんですが何とかお願いします」ではなく、「〇日までに〇円、翌月〇日までに残額」という形で、相手が判断できる材料を出すこと。
そのうえで、約束した支払いだけは何があっても最優先で守ること。
これができるなら、信用は崩れるどころか、「逃げずに向き合った会社」としてむしろ残ることすらあります。
なぜ人は、頭を下げるより“高利の金”を選んでしまうのか
ここが一番厄介な心理ポイントです。
多くの経営者は、取引先に事情を話すことよりも、ファクタリングに申し込むことの方が“楽”に感じてしまいます。
申し込みはネットで完結します。
誰にも会わず、誰にも叱られず、即日で金が入る。
その代わりに、目に見えない形で会社の寿命を削っている。
一方で、頭を下げるのはきついです。
プライドも傷つくし、断られるかもしれないし、その後の関係も気になります。
でも、こちらは一時的にメンタルが削れるだけで、キャッシュは減りません。
冷静に比べると、どちらが本当に“痛い”選択かは明らかです。
ファクタリングは、感情的に楽で、経営的に最悪な選択肢になりやすい。
頭を下げるのは、感情的にきつくて、経営的に一番マシな選択肢になりやすい。
それでも取引先が抜ける可能性はある。それでもマシな理由
もちろん、正直に話した結果、取引先が一社抜けることもあります。
これは現実として否定できません。
ただ、それでもなお、2社間ファクタリングを使うよりマシだと言える理由があります。
それは、「失うものが限定されている」からです。
取引先が抜けた場合、失うのはその取引先との売上と粗利です。
でも、ファクタリングを使った場合、失うのは現金そのものに加えて、翌月以降の資金繰りの余力です。
しかも、次もまた使わざるを得なくなる確率が跳ね上がります。
前者は“局所的なダメージ”で済みます。
後者は“構造的なダメージ”になります。
経営として致命的なのは、圧倒的に後者です。
まだ間に合う人が、今日やるべき一つのこと
ここまで読んでいる人は、おそらくまだ2社間ファクタリングを使っていないはずです。
だとしたら、今日やるべきことは一つだけです。
「この支払いを、誰に、いつまで待ってもらえれば、一回もファクタリングを使わずに済むか」を紙に書き出してください。
そのうえで、いちばん現実的な相手から、順番に連絡してください。
完璧な説明文はいりません。
誠実に、具体的に、逃げずに話す。それだけで十分です。
それをやらずにファクタリングに申し込むのは、選択ではなく“回避”です。
問題を解決しているようで、実際には先送りしているだけです。
結論:一社失う方が、会社を失うよりずっとマシ
最後に、かなり乱暴な言い方をします。
でも、これは現場を見てきた人間ほど同意する話です。
取引先が一社抜けるのは、痛いです。
恥ずかしいし、悔しいし、情けない気持ちにもなります。
でも、それで会社は終わりません。
2社間ファクタリングにハマると、会社そのものが終わる確率が一気に跳ね上がります。
しかも、その終わり方は静かで、気づいた時にはもう引き返せない形になります。
だから、もし今この瞬間に迷っているなら、順番を間違えないでください。
頭を下げるのが先です。
金を借りるのは最後です。
それでもダメだった時に、初めて別の道を考えればいい。
2社間ファクタリングは、その「最後の最後」にすら、実はふさわしくない選択肢だということだけは、どうか覚えておいてください。

