2社間ファクタリングを5回以上使った会社が、なぜほぼ例外なく詰むのか

ファクタリングのトラブル

「もう5回も使っているけど、まだ何とか回っている」。
この段階に入った経営者ほど、自社の危険度を過小評価している。実務の現場で見てきた限り、2社間ファクタリングを5回以上使った会社が、その後まともに立て直せた例はほぼ存在しない。これは感覚論ではなく、構造的に“詰むように設計されている金融商品”だからだ。


5回目に到達する会社は、すでに「事故」ではなく「慢性疾患」になっている

1回目の利用は、突発的な資金ショートという説明がまだ通る。
2回目は警告段階。
3回目で常習化が始まり、4回目で依存状態に入り、5回目に到達した時点で、それはもう一時的なトラブルではなく、資金繰りの慢性疾患に変質している。

この段階の会社は、売上が伸び悩んでいるか、粗利率が崩れているか、固定費構造が破綻しているか、そのすべてが同時に起きていることが多い。
つまり、何か一つ手当てすれば戻る状態ではなく、「会社の収益モデルそのもの」がすでに壊れている可能性が高い。


5回目以降は、資金繰りの穴が指数関数的に広がる

2社間ファクタリングが本当に危険なのは、回数を重ねるほどダメージが加速する点にある。
最初は数十万円、次は100万円、次は200万円と、調達額が膨らんでいくのが典型パターンだ。なぜなら、先食いした売掛金が積み重なり、次月の資金不足額が雪だるま式に増えていくからだ。

しかも、手数料は安くならない。むしろ「実績あり」「リピート顧客」という理由で、より強気な条件を提示されることも多い。
この時点で会社は、売上の中から「仕入」「人件費」「家賃」だけでなく、「合法ヤミ金への上納金」まで捻出しなければならなくなる。
この構造に入った会社が、黒字化する余地はほぼ残されていない。


5回目を超えると、資金調達の選択肢が事実上ゼロになる

多くの経営者は、「いよいよダメなら銀行に相談すればいい」と考えている。
しかし現実には、2社間ファクタリングを常用している履歴がある時点で、銀行融資はほぼ不可能になる。

本来なら「売掛金」という健全な資産であるはずのものが、すでに外部に売却され、しかもそれを何度も繰り返している。
金融機関の目から見れば、それは「資産を食い潰して延命している会社」であり、再建支援の対象ではなく、リスク遮断の対象に分類される。

ノンバンクも同様だ。
5回以上使っている会社は、すでに内部で「要注意」「高リスク」扱いされているケースが多く、条件はさらに悪化するか、そもそも断られるかの二択になる。
残るのは、脱法金融まがいの業者か、完全な闇金だけになる。


5回目の時点で「やめたい」と思っても、もうやめられない理由

ここが最も残酷なポイントだ。
5回目に到達した会社の多くは、すでに「やめたい」と本気で思っている。にもかかわらず、現実にはやめられない。

なぜなら、2社間ファクタリングを使わないと、その月の支払いが成立しない状態にまで追い込まれているからだ。
取引先への支払い、従業員の給料、税金、家賃。どれか一つでも落とせば、連鎖的に信用不安が拡大する。
結果として、「もう一回だけ」「今月だけ」という自己暗示をかけながら、6回目、7回目に進んでいく。

この段階に入ると、もはや資金繰りの問題ではなく、依存症に近い心理構造になっている。
理屈では危険だと分かっているのに、他の選択肢を選ぶ余力が精神的にも時間的にも残っていない。


ほぼ例外なく詰む本当の理由は「回復ルートが完全に潰れる」から

5回以上使った会社が詰む最大の理由は、単に金がなくなるからではない。
「戻れるルート」がすべて潰れてしまうからだ。

銀行融資は不可。
ノンバンクも不可。
取引先からの信用は悪化。
税金・社会保険の滞納リスクも現実化。
社内の資金繰り管理能力はすでに破壊されている。

この状態で黒字転換を狙うには、売上を短期間で急増させるか、固定費を一気に削るしかない。
しかし、2社間ファクタリング常用企業にそんな余力はまず残っていない。
結果として、「もう一回だけ」の延命を繰り返した末に、資金調達そのものが止まり、その月でゲームオーバーになる。


結論:5回目は「危険ライン」ではなく「ほぼ終点」

2社間ファクタリングを5回以上使った時点で、その会社はすでに「危険」なのではない。
ほぼ終わっている状態に入っている。

ここから生還できるケースがほとんど存在しないのは、経営者の能力が低いからではない。
この金融商品自体が、回数を重ねるほど再建ルートを物理的に潰していく構造をしているからだ。

本当に止めるべきタイミングは、5回目ではない。
2回目の時点だ。
それを超えた瞬間から、倒産は「確率の問題」ではなく、「時間の問題」に変わる。