2社間ファクタリングをやめると決めた月に、まずやるべき現実対応

ファクタリングのトラブル

「もう、これ以上は使わない」。
2社間ファクタリングを何度か使った末に、ここまで腹をくくれた時点で、その判断自体はかなり正しい。多くの会社は、この決断ができないまま「今月だけ」を繰り返し、取り返しのつかないところまで行く。

ただし、ここで一つはっきりさせておく必要がある。
「やめる」と決めただけでは、何も好転しない。
むしろ、やめると決めた月は、これまでで一番きつい月になる可能性が高い。

だからこそ、このタイミングで何をやるかが、ほぼすべてを決める。


まず最初にやるべきは「資金繰りの現実を、正確に直視する」こと

最初の一手は、精神論でも交渉でもない。
数字の棚卸しだ。

・今月末までに出ていくお金はいくらか
・来月末までに出ていくお金はいくらか
・確定している入金はいくらか
・まだ未回収の売掛金はいくらか
・税金・社会保険の滞納額はいくらか
・リースや割賦の残高はいくらか

ここを感覚ではなく、金額で全部書き出す。
この作業を避けたまま「何とかする方法」を探しても、ほぼ確実に判断を誤る。

この時点で、「あ、もう無理だ」と思う人も多い。
でも、それでいい。むしろ、その感覚はかなり正確だ。

この段階の会社は、すでに「普通に立て直す」フェーズを過ぎているケースがほとんどで、**現実的な目標は“回復”ではなく“損失最小化”**に切り替える必要がある。


次にやるべきは「払えないものを、意図的に選別する」こと

やめると決めた月に、一番やってはいけないのは、
「全部を何とか払おうとすること」だ。

もうキャッシュが足りない以上、どこかは必ず落ちる。
問題は、「どこを落とすか」を自分で選ぶか、成り行きに任せるかの違いだ。

現実的な優先順位は、だいたいこうなる。

・従業員の給料
・事業継続に直結する仕入・外注費
・事務所や店舗の家賃
・税金・社会保険
・それ以外の雑多な支払い

この中で、最後まで引き延ばせるのは税金と社会保険だ。
ここは、正規ルートで分納交渉ができるし、差押えまでには時間もある。

逆に、取引先への支払いと従業員の給料だけは、極力落とさない方がいい。
ここを落とすと、その瞬間に事業そのものが止まる。

「全部守る」はもう不可能だ。
“何を守って、何を犠牲にするか”を、この月に意図的に決める
これができるかどうかで、その後の展開はかなり変わる。


3番目にやるべきは「逃げずに、頭を下げる相手を決める」こと

2社間ファクタリングをやめた月に、避けて通れないのが謝罪と交渉だ。

やるべき相手は、主にこの3つ。

・主要取引先
・家主やリース会社
・税務署・年金事務所

ここで一番大事なのは、
**「嘘をつかない」「楽観的な約束をしない」**ことだ。

「来月には必ず払えます」「もう少し待ってもらえれば立て直せます」この手の言葉は、その場をしのげても、後で必ず自分の首を絞める。

言うべきなのは、もっと地味でいい。

・今の資金繰りの状況
・今月はここまでしか払えないという現実
・残りはいくらで、いつ頃までに何とかしたいか
・そのために、何を削って何をやめるつもりか

このレベルまで腹を割って話すと、
意外と「じゃあ今回は分割でいい」「2か月待つ」という話になることもある。

もちろん、全員が聞いてくれるわけじゃない。
でも、2社間ファクタリングを続けるよりは、成功率ははるかに高い


同時進行で「専門家に、今の数字を丸投げする」

この局面で、自力だけで何とかしようとするのは、ほぼ自殺行為に近い。

最低限、どれか一つには今月中に当たった方がいい。

・弁護士
・税理士
・中小企業診断士
・事業再生系のコンサル

ポイントは、「立て直し相談」じゃなく、「最悪、畳む前提でもいいから、今の被害を最小化したい」というスタンスで行くことだ。

この言い方をすると、相手の提案内容がガラッと変わる。
無理な延命策ではなく、

・どこで事業を止めるか
・どこまで支払いを整理できるか
・自己破産・法的整理に進むなら、いつが一番マシか

こういう現実的な話を、ちゃんとしてくれるようになる。

この判断を1か月遅らせるだけで、
差し押さえリスクや連帯保証のダメージが一気に膨らむことも珍しくない。


「もう一度だけ使えば楽になる」という誘惑が、必ず来る

ここは、かなり重要なポイントだ。

2社間ファクタリングをやめると決めた月、ほぼ例外なく、こんな瞬間が来る。

・この支払いさえ越えられれば…
・あと50万円あれば…
・ここで一回だけ使えば、時間が稼げる…

この誘惑に負けた瞬間、それまで積み上げた「撤退準備」はすべて無意味になる。

なぜなら、その一回で、

・交渉相手への説明が全部嘘になる
・専門家への相談内容がズレる
・翌月の資金不足がさらに拡大する
・精神的に「また逃げられる」という癖がつく

つまり、「やめる」と決めた月に使う1回は、過去のどの1回よりも破壊力が大きい

この月だけは、本気で「ゼロ回」を死守する必要がある。


結論:この月の目的は「回復」じゃなく「これ以上壊さない」こと

2社間ファクタリングをやめると決めた月に、やるべきことは、どれも地味で、しんどくて、かっこ悪い。

数字を直視する。
払えないものを選別する。
頭を下げる。
専門家に相談する。
誘惑を一回耐える。

この全部をやっても、会社が助かる保証なんて、どこにもない。

でも、これをやらずに「もう一回だけ」で逃げた場合に待っている未来は、ほぼ確実に、もっとひどい形の破綻だ。

この月のゴールは、「立て直す」ことじゃない。
「これ以上、状況を悪化させない」ことだ。

それができただけで、あなたはもう、2社間ファクタリングに人生を支配される側から、“現実と向き合う側”に一歩戻れている。