2社間ファクタリングがここまで広がった最大の理由は、資金調達手段として優れていたからではない。紹介すると、継続的に金が入り続ける仕組みが用意されていたからである。
この取引の最大の特徴は、利用者よりも、紹介者のほうが長く、安定して儲かる構造になっている点にある。経営者は一度の資金繰りのつもりで契約するが、その裏では、紹介者に対して毎回、確実に報酬が発生し続ける。
紹介料はどこから出て、どのくらい抜かれているのか
2社間ファクタリングの紹介料は、契約金額から直接差し引かれるものではない。原則として、業者が受け取る手数料の中から支払われる。
実務の現場で一般的なのは、次の水準である。
・手数料の10%前後が紹介料として支払われるケース
・高い場合は20%程度までバックされるケース
ここで重要なのは、紹介料は契約一回ごとに発生するという点である。
たとえば、経営者が毎月100万円の資金を調達し、手数料が20万円だった場合、そのうち2万円から4万円が、毎回、紹介者に流れる。これが半年、1年と続けば、紹介者は何もリスクを取らずに、数十万円から百万円単位の収入を得ることになる。
一度きりではない。
「継続回数 × 手数料の10〜20%」。
ここに、このビジネスの本質がある。
士業はいくら受け取っているのか
税理士や会計事務所が関与する場合、多くは表向き「顧問として紹介しただけ」という体裁を取る。しかし実態としては、業者側から次のような形で報酬が支払われている。
・成約ごとに手数料の10%前後
・継続利用のたびに同率のマージン
・月次・四半期ごとにまとめて精算
つまり、経営者が使い続ける限り、士業側には自動的に金が入り続ける仕組みになっている。
しかもこの報酬は、顧問料とは完全に別枠で処理されることが多い。経営者が払っている高額な手数料の一部が、実は自分の顧問税理士の副収入になっていることを、ほとんどの経営者は知らない。
ここで生じているのは、明確な利益相反である。経営者の資金繰りが改善して銀行融資に戻ってしまえば、この収入は止まる。だから、「もう一回だけ」「つなぎとしてなら」という助言が、自然に繰り返されることになる。
紹介業者は、なぜ執拗に継続利用を勧めるのか
専業の紹介業者や資金調達ブローカーにとって、2社間ファクタリングは極めて優秀な継続課金型商品である。
理由は単純である。
・成約率が高く、審査で落ちにくい
・契約までが早く、回転が速い
・しかも毎回、確実にマージンが入る
銀行融資や補助金では、何か月動いても報酬がゼロになることが珍しくない。ところがファクタリングなら、一度紹介すれば、使われ続ける限り、毎月金が落ちてくる。
しかも、経営者が行き詰まっても、紹介業者は責任を負わない。倒産しても、訴えられるのは業者であり、紹介者は「仲介しただけ」で終わる。
この構造が、「短期資金を装った長期搾取モデル」を生み出している。
経営者には、なぜこの構造が見えないのか
紹介料の存在がここまで広がっているにもかかわらず、多くの経営者はそれをまったく知らない。
理由は明確である。
・契約書に一切書かれない
・手数料の配分は開示義務がない
・「無料で紹介します」という建前が使われる
経営者が確認できるのは、「業者に払う手数料」だけである。その中の何割が、誰に流れているのかを知る手段は、ほぼ存在しない。
ここで極めて重要なのは、紹介者が無償で動いていることは、実務上ほぼないという事実である。
継続させるほど、経営者だけが不利になる
この仕組みの最も歪んだ点は、経営者にとって不利な取引ほど、紹介者が儲かるという逆転構造にある。
条件が厳しく、手数料が高い業者ほど、紹介料を多く出せる。
条件が良く、手数料が低い業者ほど、紹介ネットワークに乗らない。
その結果、
・本来選ぶべき業者は紹介されない
・高コスト業者ほど積極的に勧められる
・「一度だけ」が何度も繰り返される
経営者は、自分のために選ばれたと思い込みながら、実際には紹介者の継続収入のために利用させられている。
最後に抜かれるのは、結局だれの金か
この連鎖の原資は、すべて経営者が払った手数料である。
業者が抜き、
紹介業者が抜き、
士業が抜き、
そして会社の資金繰りだけが、確実に悪化していく。
誰も違法ではない。
誰も契約当事者ではない。
誰も責任を取らない。
だからこの問題で、いちばん重要な警告は極めて単純である。
2社間ファクタリングを継続利用させようとする人間は、あなたの破綻から利益を得ている可能性が高い。
一度きりなら事故で済むかもしれない。
しかし「毎月使え」「まだ大丈夫」と言われ始めた時点で、あなたはすでに搾取の側に回されている。
2社間ファクタリングは、資金調達ではなく、
紹介者に継続課金される仕組みとして、最も完成された商品である。

