2社間ファクタリングの手数料が高いことは、いまさら新しい話ではない。問題は、その手数料の背後で発生している紹介料が、誰の財布から、どのような形で支払われているのかという点である。
業者は「当社は紹介料を払っていない」と言う。
紹介業者は「報酬は業者から受け取っている」と説明する。
士業は「顧客負担ではない」と弁解する。
しかし、この市場では、最終的に一円たりとも業者や紹介業者が負担していない。すべては、利用企業の資金繰りの中に、見えない形で組み込まれている。
紹介料はどこで発生しているのか
実務の相場は明確である。紹介料は、取扱額の10%から20%、しかも初回だけではなく、継続利用のたびに発生する。
たとえば、1000万円を月次で回す企業が、毎回10%の手数料を払い、そのうち15%が紹介料として抜かれているとする。この時点で、
・業者の実質受取 85万円
・紹介業者の受取 15万円
・利用企業の支払 100万円
という構造が成立する。
重要なのは、業者も紹介業者も、この15万円を「自腹で払っているわけではない」という点である。業者は最初から、その分を織り込んだ手数料率を設定している。紹介業者は、業者の利益からもらっているのではなく、利用企業の資金から直接抜いているに等しい。
実効年利の本当の計算方法
ここで視点を変える。
通常の説明では、ファクタリング手数料を年利換算して「年利100%超」などと語られる。しかし、この計算には、紹介料という要素がほとんど含まれていない。
本当の実効年利を計算するなら、次の要素をすべて足し込む必要がある。
・名目手数料
・紹介料相当分
・継続利用による複利効果
・入金タイミングのズレ
たとえば、月10%の手数料で12回利用すれば、単純計算で年利120%になる。しかし、ここに毎回15%の紹介料が含まれていれば、実質的な負担は月11.5%に近づく。これを複利で回せば、年率は150%を軽く超える。
しかも、この数字は表に出ない。契約書に書かれているのは「手数料10%」だけで、紹介料はどこにも表示されないからである。
会計上、誰が負担していることになっているのか
さらに厄介なのは、会計処理である。
利用企業の帳簿には、紹介料は登場しない。すべて「ファクタリング手数料」として一括処理される。業者の帳簿でも、紹介料は「販売促進費」や「業務委託費」に分類される。
結果として、
・利用企業は、自分が紹介料を払っていることに気づかない
・業者は、紹介料をコストとして計上していない
・紹介業者は、誰の金かを曖昧にしたまま受け取る
ここで初めて、この市場の本質が見える。
紹介料は、会計上も、契約上も、存在しないことにされているが、実際のキャッシュフローでは、常に利用企業が全額負担している。
価格転嫁ではなく、価格設計である
通常のビジネスであれば、外注費や紹介料は、あとから価格に転嫁される。しかし2社間ファクタリングでは逆である。
最初から、
・紹介料を払う前提で手数料率を決める
・紹介業者を組み込んだ収益配分で商品設計する
・その総額を「手数料」として利用企業に提示する
これは転嫁ではない。価格設計そのものに組み込まれている。
しかも、利用企業には交渉力がない。資金繰りに詰まった段階で提示される条件は、ほぼ受け入れるしかない。紹介業者が介在すれば、競争すら起きない。同じ条件がそのまま繰り返され、毎月同じ紹介料が抜かれ続ける。
最後に負担しているのは、誰か
結論は極めて単純である。
紹介料を負担しているのは、
・業者ではない
・紹介業者でもない
・銀行でもない
常に、利用企業である。しかも、その負担は、名目手数料にも、年利計算にも、説明資料にも現れない形で埋め込まれている。
この構造が危険なのは、金利が高いからではない。
本当に危険なのは、
自分がいくら払っているのか、誰に払っているのか、誰の利益になっているのかが、最後まで見えないまま取引が続く点にある。
2社間ファクタリングの実効年利が異常なのは、高率だからではない。
紹介料という「不可視の利息」が、制度の内側に組み込まれているからである。
この市場で最も搾取されているのは、業者に騙された企業ではない。
仕組みそのものに組み込まれ、気づかないまま払い続けている利用企業である。

