結論から言えば一部のケースでは可能性がありますが、通常は非常にハードルが高く、簡単には過払い請求の対象にはなりません。以下で詳しく解説します。
■ 過払い請求とは何か?
まず前提として、「過払い請求」とは本来返済する必要のない金利を支払っていた場合に、それを貸金業者に返還請求することです。対象になるのは、貸金業法・出資法の上限金利を超えていた場合に限られます。
■ ファクタリングは「貸付」ではない建前
ファクタリングは「貸付」ではなく、「売掛債権の譲渡」という契約形式をとります。そのため、名目上は金利が発生しない=過払いは発生しないというのが業界の建前です。
たとえば、以下のような取引があったとします。
- 売掛債権額面:100万円
- ファクタリングで受け取った金額:85万円
- 実際の回収額:100万円
この差額15万円は「手数料」や「リスクプレミアム」とされ、利息とはされていません。
■ しかし「実質は貸付」なら過払い請求できる可能性あり
この仕組みが問題になるのは、実態が「貸付」に近いと認定される場合です。特に以下のような構造があるとき、ファクタリングではなく「高金利貸付」に該当する可能性が出てきます。
- 債権譲渡なのに債権の回収を譲渡人が続けて行っている(回収委任)
- 譲受人が額面どおり回収せず、初めから少額しか回収しない(額面が意味をなしていない)
- 譲渡対価と回収金額の差が異常に大きい(実質年利で換算すると出資法超過)
- 不渡りや貸倒のリスクを事実上譲渡人が負っている(償還義務がある)
このような実態がある場合、「偽装ファクタリング」や「貸付にあたる」として出資法・貸金業法違反と評価され、過払い請求の余地が出てきます。
■ 過払い請求が難しい理由
とはいえ、現実にファクタリングで過払い請求が成立することは稀です。その理由は次のとおりです。
- 表向きは「債権譲渡契約」であるため、形式を重視する裁判所では認定されにくい
- 実質論(回収実態や契約運用)に踏み込める弁護士が非常に少ない
- ファクタリング業者が債権譲渡登記などを用いて合法性を主張する
- 契約書上に「一切の異議を述べない」といった免責条項が記載されていることも多い
つまり、争点にするには非常に高度な法的議論が必要になります。
■ 弁護士に依頼する際の注意点
ファクタリングを理由にトラブルになった場合、「貸金業法違反で過払い請求できるかもしれない」と思っても、全ての弁護士がこの論点に精通しているわけではありません。
多くの弁護士は、債権譲渡という形式をそのまま受け入れてしまい、違法性の主張には消極的です。そのため、依頼するなら次のような弁護士が望ましいです。
- 商取引・金融取引に詳しい
- ファクタリングの実態と問題点を理解している
- 実質論(実態の貸付性)を争点化できる能力がある
- 出資法・貸金業法の裁判例に明るい
ごく少数ですが、実際にファクタリング業者と争って勝訴した実績を持つ弁護士もいます。
■ まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 原則 | ファクタリングは過払い請求の対象外 |
| 例外 | 実態が「貸付」の場合は対象になる可能性 |
| 難点 | 法的認定が難しく、弁護士の力量に左右される |
| 必要 | 専門的な弁護士への依頼が不可欠 |

