2社間ファクタリングを利用してしまったが「一切お金を払いたくない」──こんな時に取れる手段

ファクタリングの違法性と契約について

資金繰りに追われ、2社間ファクタリングを利用したものの、いざ返済のタイミングになると「もう払えない」「払いたくない」と感じることがあります。売掛先に通知せずに資金調達できる便利さの裏には、重い返済義務が潜んでいます。

このような状況に陥った場合、本当に“払わずに済む”ことが可能なのでしょうか。リスクを理解したうえで、現実的に取り得る手段を整理していきます。


契約内容を徹底的に見直す

最初に確認すべきは、契約書と交付された関連資料です。

  • ファクタリング契約書(売買契約形式)
  • 債権譲渡通知や覚書
  • 手数料明細や請求書
  • メールやLINEなどでのやりとり

特に重要なのは、「契約の本質が何であったか」という点です。名目上は売掛債権の譲渡になっていても、実質的に“借金”であれば法的に無効とされる余地があります。


実質が「貸付」なら契約の一部、または全部が無効になる可能性

以下のような特徴がある場合、ファクタリング契約は実質的に「貸金契約」と見なされる場合があります。

  • 売掛債権が実際には譲渡されていない(買戻し前提)
  • 売掛先の倒産時、譲渡人が全額返金する義務を負っている
  • 手数料が異常に高く、年利換算で100%を超える
  • 契約時に「必ず償還してもらう」などと約束させられていた

このような場合、貸金業の登録がない業者であれば出資法違反の可能性があり、さらに利息制限法を超える手数料については無効です。つまり「支払わなくてもよい金額」が生じることになります。


売掛金の行き先を止める、という選択肢

すでにファクタリング業者が売掛債権を譲り受けている場合でも、「本当に譲渡が有効だったか」が問われます。たとえば、

  • 売掛先に通知されていない
  • 債権譲渡登記がされていない
  • そもそも売掛先が架空取引である(業者側と結託していた)

といった場合には、譲渡自体が無効、または第三者対抗要件を欠いている可能性があります。この場合、売掛金をファクタリング業者に渡さず、自社が直接回収し、弁済義務を回避できる余地が出てきます。


「払えない」ではなく「払わない」ための理屈を整える

単に「払いたくない」と主張するのは無意味です。契約書の内容、手数料率、業者の対応状況などをもとに、以下のような主張ができるかを検討します。

  • 契約は公序良俗に反し無効である
  • 実質貸金契約であり、利息制限法に違反している
  • 必要な説明義務を果たしておらず、錯誤・詐欺による取消が可能である
  • 説明と実際の取引が食い違っていたため、損害賠償請求ができる

これらの主張を理論立てて準備すれば、交渉や訴訟の場でも支払い義務を軽減、または回避することが可能になります。


支払停止と売掛先への通知で流れを変える

売掛金の支払い先を止めるには、売掛先へ「本件債権の譲渡は無効である可能性があるため、当社へ支払ってほしい」と通知するという方法があります。法的な裏付けとともに文書で行い、仮差押えの準備も進めておけば、業者側にとっても簡単には動けない状況が作れます。


反論材料を持って交渉に臨む

支払いを拒絶する交渉は、相手の出方次第で泥沼化します。以下のようなポイントをあらかじめ押さえておきましょう。

  • 「この契約は貸金業に該当すると認識している」
  • 「説明義務違反と利息制限法違反を理由に返還請求も視野に入れている」
  • 「争う意思があり、訴訟も辞さない」

これにより、業者側がリスクを感じて譲歩してくる可能性があります。


最後の手段:訴訟や調停で争う

どうしても交渉がうまくいかない場合は、以下のような法的手段もあります。

  • 債務不存在確認訴訟
  • ファクタリング契約無効の訴え
  • 売掛債権に対する支払い停止の仮処分
  • 登録ファクタリング業者であればADR手続きの活用

書類がそろっていて実態が明確なら、法的にも「払わなくていい」という結論に至ることは現実的です。


現実的に“ゼロ”で済んだ事例もある

実際に、150万円の売掛金を100万円で買い取られ、50万円の差額を請求された会社が「手数料が違法な利息であり、契約は無効」として支払いを拒否した結果、業者側が訴訟を回避して請求を取り下げたケースもあります。こうした前例は少なくありません。


まとめ:感情ではなく準備で「払わずに済む」

2社間ファクタリングの請求に対し、「一切払いたくない」という思いは多くの中小事業者にとって切実な本音です。ですが、“払わずに済ませる”には、それ相応の準備と理屈が必要です。契約の実質と法的な枠組みを冷静に見極め、必要であれば弁護士などの専門家とも連携しながら、一つひとつ論理的に崩していくことが現実的な解決への道となります。

決して「払いたくない」で終わらせず、「なぜ払う必要がないのか」を構築することが、支払い義務の回避に繋がる第一歩です。そのためには、専門性の高い弁護士に相談することも選択肢としましょう。