「“是正されなかった”のではない」――沈黙が合理的だった理由

ファクタリングのトラブル

見て見ぬふりは“失策”ではなく“合理”

2社間ファクタリング、合法ヤミ金、脱法金融がここまで肥大化したのは、行政が無能だったからではない。
見て見ぬふりをする方が、政治的にも行政的にも合理だったからだ。
問題化すれば、制度設計の欠陥、監督不全、立法の遅れが露呈する。
黙っていれば、責任は誰にも降ってこない。

争点化は“コスト”が高すぎる

規制に踏み込めば、業界反発、ロビイング、既存制度との整合性、立法事実の立証、被害実態の可視化という高コストが発生する。
しかも被害者は全国に散在し、政治的な集票力は弱い。
争点化しない方が、行政にとっては圧倒的に安い。

“グレー”は便利な緩衝地帯

違法ではないが、明確に適法とも言い切れない。
このグレーゾーンは、行政にとって最も使い勝手のいい緩衝地帯である。
違法なら潰さねばならない。
合法なら守らねばならない。
グレーなら、何もしなくていい。

被害が“分散”する構造が争点化を阻む

消費者金融やヤミ金被害のように、明確な被害類型と統計が揃えば動かざるを得ない。
だが2社間ファクタリング被害は、倒産、廃業、信用失墜、取引解消など、
別々の統計に分解される。
分解された被害は、社会問題として集約されない。

“救済の不在”は制度設計の想定内

支援制度が機能しないのは、制度の不備ではなく、想定外の被害を切り捨てる設計だからだ。
融資ルートから外れた事業者は、最初から救済対象に含まれていない。
救われない人が出ることは、制度の失敗ではなく、制度の仕様である。

結語|沈黙は怠慢ではない、政策選択である

是正されなかったのではない。
是正しないことが選ばれた。
2社間ファクタリング、合法ヤミ金、脱法金融は、行政の無策の産物ではない。
沈黙という政策選択の上に築かれた市場である。
沈黙は事故ではない。設計された合理である。