2社間ファクタリングで、世の中に優良なファクタリング業者はあるのか?

ファクタリングの違法性と契約について

はじめに:「融資ではない」は建前にすぎない

ファクタリング業界の中でも特に問題視されているのが「2社間ファクタリング」です。ファクタリングは本来、売掛債権の「売買」であり、「貸付」ではないという理屈のもとで、貸金業の規制を免れてきました。しかし、実態を見れば、2社間取引のほとんどは、形式こそ売買契約であっても、実質的には貸付と変わらない構造になっています。

利用者が将来回収予定の債権を“売る”代わりに即座に現金を得て、後日入金があればその分を業者に支払う。これは、返済義務を負わない“真の売買”とはほど遠く、業者が債権リスクを負わず、常に「償還請求権あり」の形で資金を“貸し付け”ているだけです。こうした仕組みが横行している以上、「2社間ファクタリング業者は全てヤミ金である」と断じることは、もはや過激な主張ではなく、実態を正確に表した認識と言えるでしょう。

なぜ2社間ファクタリングが好まれるのか?

そもそも、ファクタリングには2種類の基本的なスキームがあります。

  • 3社間ファクタリング:債権譲渡を売掛先にも通知し、回収は業者が直接行う。
  • 2社間ファクタリング:売掛先には通知せず、債権譲渡を内密に行い、回収は利用者自身が行う。

中小企業が2社間ファクタリングを好む理由は明確です。売掛先に資金繰りの悪化を知られるリスクを避けたいというニーズです。資金難を抱えながらも、「信用を落としたくない」という事情から、経営者は2社間に頼らざるを得ないのです。

その心理につけ込むように、2社間ファクタリング業者は「秘密厳守」「即日入金」「無審査OK」などの文言を並べ、資金難の企業を囲い込んでいます。そして高率な手数料を当然のように課し、「これは手数料であって利息ではない」と主張することで、法の網を潜り抜けています。

実質年利50~300%超:その手数料は違法ではないのか?

ここで注目すべきは、2社間ファクタリングにおける「手数料」の実態です。表面上は「買取手数料10~30%」とされていますが、実際の債権支払期日までの日数を考慮すると、年利換算で50~300%を超えるケースも珍しくありません

たとえば、100万円の売掛債権を30日後に回収予定の取引に対し、20%の手数料でファクタリングを受けた場合、手取りは80万円。30日後に100万円を支払うわけですから、これは1か月で20万円の利息を支払っているのと同義です。年利に換算すれば240%を超えます。

この利率が、貸金業法の上限(年20%)をはるかに超えていることは明白です。にもかかわらず、業者側は「貸金ではない」「債権譲渡による手数料である」と主張し、規制逃れをしています。

しかし、裁判所の一部ではすでに「実質的に貸金取引に該当する」と判断した判例も存在し、将来的には違法性が争点になる可能性は十分にあります。業者がリスクを負わない(償還請求権あり)、かつ利用者が確実な返済を求められる構造においては、これは明らかに名を借りた“高利貸し”=ヤミ金です。

説明義務や登録制すら存在しない現実

さらに深刻なのは、こうしたファクタリング業者に対する法的な規制がほとんど存在しないという事実です。現行法上、ファクタリング業者に対する明確な免許制度や登録義務はありません。

貸金業であれば、登録制のもとで取り扱い上のルールや上限金利、広告規制などが細かく定められていますが、ファクタリング業者はそのどれにも該当しません。したがって、「買取契約」であればどんな内容であっても事実上“自由”です。

この無規制の空間に、多くの悪質業者が参入しています。

  • 契約書の不備(償還義務を曖昧に記載)
  • 実際には貸付に近い形で回収を強行
  • 売掛先に無断で連絡して信用を毀損
  • 返済不能時には「債権譲渡を仮装した貸付」であるとして訴訟

こうした行為が頻繁に報告されているにもかかわらず、現行制度では何の処罰もできません。被害者が個別に民事訴訟を起こすしか手段がないというのは、極めて不健全な状態です。

本当に“優良な業者”など存在しうるのか?

それでは、2社間ファクタリングを取り扱う「優良業者」は存在しうるのでしょうか?

残念ながら、現状の制度下において「真に優良」と言える2社間ファクタリング業者は、構造的に存在しえないと断言せざるを得ません。

なぜなら、以下の3点において制度的な矛盾を内包しているからです。

  1. 手数料設定に制限がなく、業者の恣意性に依存する
  2. 「売買」契約である以上、業者が債権リスクを負うのが原則だが、現実は利用者にリスクが転嫁されている
  3. 契約形態の自由度が高すぎ、情報格差の大きい中小企業が一方的に不利な立場に立たされやすい

これらを踏まえると、「適正な契約を行う」「説明を十分に行う」だけでは優良とは言えません。2社間ファクタリングという構造そのものが、法の不在と情報の非対称性に支えられている以上、どんなに表面を取り繕っても、“ヤミ金まがい”からは脱却できないのです。

終わりに:求められるのは制度整備か、全廃か

2社間ファクタリングは、多くの中小企業にとって資金繰りの「最後の砦」となっています。しかし、その実態は“ヤミ金”と呼ばれても反論できないような危うさをはらんでいます。

制度として残すのであれば、最低限、以下の整備が不可欠です。

  • 登録制と業者情報の公開
  • 手数料の上限制限と透明化
  • 契約時のリスク説明義務
  • 償還請求権の有無の明示と標準契約書の導入

それが不可能であれば、いっそ2社間ファクタリングそのものを禁止するという決断も、社会的には十分に検討に値します。少なくとも、現状のまま野放しにされるべき取引形態ではないのです。

経済的に苦境にある企業が、さらに追い詰められるような仕組みが放置されていることこそが、この問題の本質です。規制の枠組みを欠いたまま、制度としてのファクタリングを語ることは、すでに限界を迎えています。私たちは今こそ、「利便性の裏に潜むリスク」と正面から向き合わなければなりません。