「国が推奨」と謳う危うさ──2社間ファクタリングに見る”正当化”の論理

不存在債権は「詐欺か?」「不当原因給付か?」

「国が推奨する資金調達手段」「経済産業省が導入した制度」──こうした文言を、2社間ファクタリングの解説ページや広告文に見かけたことはないでしょうか。いかにも公的な後ろ盾があるように見せかけていますが、実態はまったく異なります。

このような表現の背後には、意図的な“ごまかし”と、構造的に組み込まれたミスリードが存在します。
今回は、「売掛債権を用いた資金調達=国が推奨した方法」と言い切るレトリックの危険性と、そこに潜むファクタリング業者の悪意ある戦略を深掘りしていきます。

表面上の「事実」で、実態を偽装するレトリック

問題となる記述では、「不動産担保を使えない中小企業が、売掛債権を資金化できる制度がある」「これは国が流動化を推進している証拠である」と書かれています。

ここで用いられているのは、制度の名前だけを借りて、実態をすり替えるという手法です。

たしかに、経済産業省や中小企業庁は、売掛債権を活用した融資制度を整備しています。しかしそれは「融資」であり、信用保証協会の保証を前提とした、金融機関との正式な与信契約です。

それに対して、2社間ファクタリングは、融資ではありません。債権を譲渡する形式で、売掛先に通知されることなく現金化されるため、法的にも取引の構造もまったく別物です。
ここに“意図的な混同”が行われているのです。

このように、制度の中の「売掛債権を活用」というキーワードだけを抜き出し、「国もやっている」→「だから私たちも正しい」という短絡的な論理で自らを正当化しようとするのが、典型的な詭弁のロジックです。

本質は「信用の借用」──消費者心理を操る仕組まれた戦略

この種の広告に見られる「国が推奨」という表現は、単なるミスリードではなく、明確な営業戦略の一環と見るべきです。

ファクタリングは、まだ一部の企業にとっては聞き慣れない資金調達手法であり、加えて「ノンバンク」「即日資金化」「通知なし」などの特徴が、胡散臭さやリスクを連想させます。

そこで「国が推奨」「経産省が制度を作った」といった表現を持ち出すことで、**“信頼の外付け”**をするわけです。
自社の仕組みでは説明しきれない不安感を、国の権威という「信用を借りる」ことでごまかすという手法です。

これはまさに、“借り物の信頼”によって商材の実態をごまかす、極めて悪質な広告ロジックです。しかも、その「借りているもの」が本質的に全く関係ない制度であるならば、なおさら許されるべきではありません。

誤解を生むための「構造的編集」

こうした誤解を意図した記述には、次のような“仕掛け”が見られます。

  • 制度名の列挙:売掛債権担保融資保証制度など、専門的な制度名を並べて読者を圧倒し、「なんとなく正しそう」という印象を植え付ける
  • 比較構造の利用:「銀行融資は不動産担保が必要」「しかし我々は売掛債権で調達できる」→制度を用いる金融機関との対比で、あたかも国の代替手段であるかのように装う
  • 原因と結果のすり替え:制度整備の背景(中小企業支援)を、そのまま自社サービスの正当性と直結させてしまう

つまりこれは、偶然の誤解ではなく、計算された誤読の誘導です。

広告やPRは自由ですが、**制度の趣旨と実態をねじ曲げる手法は“虚偽に準じた印象操作”**であり、利用者の判断を明確に損なう可能性があります。

結局、誰のためのファクタリングなのか

2社間ファクタリングは、便利な資金調達手法として一定のニーズがあります。しかし問題なのは、その「利便性」よりも先に、業者が手数料の正当性や事業モデルの根拠を捻じ曲げて説明してしまうことです。

本当に中小企業を支援したいのであれば、制度名や公的機関の肩書きを使う前に、まずは手数料率・回収条件・償還請求の有無・回収不能時の扱いなどの「取引実態」を正確に説明すべきです。

現実には、売掛債権の名目だけで契約書をかわし、実質的に信用リスクを契約者側に押しつけ、換算すれば年利100%を超えるような手数料で取引される事例もあります。

制度の後ろ盾を借りて隠すべきなのは、本質的に“説明しづらい仕組み”を抱えているからではないか──そう思われても仕方がありません。

誠実な事業者に必要な姿勢とは

制度を誤解させるようなPRを避け、誠実な説明と透明な商品設計を提示すること。それが、信頼されるファクタリング業者に求められる最低限の姿勢です。

  • 「制度は制度、自社は自社」と切り分けて説明する
  • 自社の商品が制度に“似ている”理由と“違う”理由を説明する
  • 制度名や行政機関のロゴ・文書を、印象誘導のために使わない

制度の権威を借りなければ顧客の信頼が得られないサービスならば、そもそもそのビジネスは成立していないと言っても過言ではありません。