サービサー免許なきファクタリング会社の適法性とは──弁護士法と特措法の狭間で問われる実態

ファクタリングの違法性と契約について

債権回収業務は、法的に極めて厳格な規制を受ける分野です。基本的に、弁護士法72条により、弁護士以外の者が営利目的で他人の債権を回収することは禁止されています。これは債務者とのトラブルや違法な取り立てを防ぐためであり、弁護士以外が関与してよい業務範囲を明確に線引きする法律的な根拠となっています。

ところが一方で、金融の現場では「ファクタリング」という仕組みが広く利用されています。売掛債権を第三者に譲渡して現金化するサービスであり、とくに中小企業の資金繰り支援として活用されています。このようなファクタリングは、表面的には債権譲渡の一形態であり、弁護士法の規制外とされることが多くあります。

では、ファクタリング業者が債権の回収行為を行うことは、常に合法といえるのでしょうか。

結論からいえば、**「債権譲渡が真正に行われており、かつ回収リスクをファクタリング業者自身が負っている場合」に限り、弁護士法に抵触しないと解されています。この点を裏付けているのが、1998年に施行された「債権管理回収業に関する特別措置法(特措法)」**です。

この特措法は、サービサーと呼ばれる民間回収業者が、法務省の許可を受けて第三者の債権を回収できる制度を定めたもので、対象となる「特定金銭債権」の範囲も明確に定められています。そして、ファクタリング会社が保有する金銭債権(売掛債権など)もこの「特定金銭債権」に含まれています。

つまり、ファクタリング会社が「自ら譲り受けた売掛債権」を「自己の財産」として管理・回収するのであれば、特措法の枠組み内で合法的に活動できるのです。実際、多くのファクタリング会社はこの解釈のもと、サービサー登録を行わずに営業を行っています。

しかしながら、問題はその実態にあります。

とくに注目すべきポイントは、「回収リスクを誰が負っているのか」という点です。本来のファクタリング取引では、債権を買い取ったファクタリング会社が、その債権の履行リスクを全面的に引き受ける必要があります。ところが一部の業者では、万が一債務者が支払不能になった場合、債権を譲渡した元の債権者に**「償還義務(リコース)」**を課しているケースが見られます。

このような契約形態では、ファクタリングといいながら実質は「債権回収代行」または「融資(貸付)」に近いものとなり、名義貸しのような取引形態が疑われるため、弁護士法や貸金業法に抵触する可能性が生じてきます。

さらに、ファクタリング会社自身がサービサー免許を持っていない場合には、そのリスクは一層高まります。法律上、他人の債権を有償で回収するには、法務省からのサービサー登録が必要です。しかし中には、免許を持たないにもかかわらず、債権譲渡を装いながら実態は回収代行を行っているような業者も存在しています。

たとえば、以下のような実態がある場合には、サービサー登録がない業者であっても違法と判断されるリスクがあります。

  • 実質的に元の債権者が回収を続けている
  • 債務者に通知せず、回収代行のような形で入金処理を行っている
  • 万が一の債務不履行時に、元の債権者に補填義務を課している
  • 手数料が著しく高額で、「売買契約」としての公平性を欠く

こうしたケースでは、形式的には債権譲渡契約が締結されていても、実体が伴っていないとされ、弁護士法違反や出資法違反(みなし貸付)として処罰の対象となり得ます。

つまり、「免許がない=違法」とは一概にいえないものの、回収業務の実態が法に抵触していれば違法となるのです。とくに、回収主体や損失の負担関係が不透明な契約スキームには、厳しい目が向けられています。

ファクタリングの利用を検討する企業にとっても、これは他人事ではありません。違法性のある取引に巻き込まれることで、債務者との信頼関係を損なったり、将来的に契約無効や損害賠償のリスクを背負う可能性もあります。契約書面において、債権譲渡の対価、通知義務、回収方法、リコース有無などの条件を明確に確認し、必要に応じて法律の専門家に相談することが望ましいといえます。

また、二者間ファクタリング(債務者に通知をせずに行う形態)は、違法とまではいえないものの、第三者対抗要件の具備が難しく、譲渡の真正性が争点になることもあるため、慎重な運用が求められます。


まとめると、サービサー免許を持たないファクタリング業者のすべてが違法というわけではありませんが、適法とされるためには、

  • 債権譲渡が形式だけでなく実質を伴っていること
  • 債務者リスクを全面的に負担していること
  • 高額手数料など不当な条件がないこと
  • 回収に元の債権者が関与しないこと

といった条件をクリアする必要があります。

事業者として法令を順守し、かつ利用者としても契約の中身をしっかりと理解し確認することで、健全な資金調達とトラブル回避が実現できるはずです。