偽装ファクタリングという名の合法ヤミ金──加害者支援ではなく、被害者救済を

不存在債権は「詐欺か?」「不当原因給付か?」

2社間ファクタリングが孕む「偽装」の構造

2022年3月、埼玉県で重大な問題が提起されました。ファクタリング業者による違法な金利設定を巡る訴訟が起こされたのです。報道によれば、埼玉弁護士会所属の弁護団が、「ファクタリング」の名を借りた事実上の金銭貸付を行った都内の業者を提訴し、会見を開きました。

「ファクタリングの正しい取引を行わずに違法な高金利で金銭を貸し付けたとして、埼玉弁護士会所属の弁護団は1日、都内のファクタリング業者を提訴しました。」

この訴訟の対象となったのは、株式会社Accという都内のファクタリング業者です。訴えたのは、県内企業を営む50代男性で、これまでに支払った約1,944万円の返還を求めています。

ファクタリングとは本来、企業が保有する売掛債権をファクタリング会社が一定の割引率で買い取ることで、資金を早期に得る手法です。これは「資金調達手段」であり、貸金とは本質的に異なるものです。

しかし、昨今横行しているのは、こうした建前を利用しながら、実質的には金銭貸付を行い、しかも高利での「回収」を行う偽装ファクタリング──その中でも特に悪質な「2社間ファクタリング」です。

「このところ、債権を買い取った業者が回収しないで、利用者自らが回収して業者に戻す実質的には金銭貸借的な偽装ファクタリングが増えています。」

「ヤミ金」と何が違うのか?

ここで問われるべきは、こうした取引が、なぜ「違法ではない」との建前でまかり通ってきたのかということです。答えはシンプルです。ファクタリングは「貸金業」ではなく、「売買契約」として位置づけられるため、貸金業登録の義務を回避することができるという“抜け道”があるのです。

この抜け道を使って、実質は貸金であるにもかかわらず、業者は高額な「手数料」や「買取割引」と称して、違法とも言える水準の金利を課してきました。中には、年利換算で100%を超える例もあると言われています。

「貸金業の登録をしていないファクタリング業者が手数料として、違法に高い金額を受け取る案件が増えているということです。」

これを「合法ヤミ金」と呼ばずして、何と呼べばいいのでしょうか。

被害者の声が封じられる構造

ファクタリングの利用者には、経営難に陥った中小零細企業や個人事業主が多く含まれます。資金繰りに行き詰まり、金融機関からの融資が受けられず、最後の望みとしてファクタリングに頼らざるを得なかったというケースも少なくありません。

しかし、そうした弱い立場につけこむように、ファクタリング業者は「貸しません、買い取ります」という体裁をとって契約を結び、実態は貸金と変わらない取引で搾取してきました。にもかかわらず、表面上は「債権の譲渡」という体裁があるため、被害者の声は「契約に基づく取引」として黙殺されがちです。

その上で深刻なのは、こうした業者の背後に、顧問弁護士として名を連ねる法律家たちの存在です。今回の報道でも、以下のような衝撃的な一文が含まれていました。

「日弁連の注意喚起がありながらファクタリング会社の顧問弁護士に就任、中には東弁前会長の事務所も顧問、弁護士は被害者救済の前に加害者支援をやめる事」

弁護士が法律の抜け道を利用する側につき、倫理よりも利益を優先させるという構図が、問題をさらに根深くしています。特に、業界内で影響力を持つ人物や事務所がこうした役割を担っていることは、法の信頼性を揺るがすものです。

弁護士の使命とは何か?

この点において、今回の訴訟を主導した埼玉弁護士会の弁護団の姿勢は、まさに正義に則った行動だと評価できます。彼らは会見にて、こう述べています。

「近年急増している偽装ファクタリング業者の撲滅と被害拡大を防止するためにも、今回の訴訟に踏み切った」

本来、弁護士の使命とは、社会的に弱い立場にある人々の権利を擁護し、正義の実現を目指すことにあります。それが、「合法」とされる枠組みの中で横行する不当な搾取構造に対し、立ち向かうことを意味するのです。

表向きには合法でも、実態が違法であるならば、それを糾すのが法律家の責務であり、真のプロフェッショナルです。

2社間ファクタリングの規制と法整備を

いま求められているのは、個別訴訟による事後的な是正だけではありません。抜け道を塞ぎ、法の精神に則った制度の整備が急務です。

具体的には、以下のような対策が必要でしょう。

  • ファクタリングの実質要件の明確化
    金銭貸付と同等の構造を持つ取引を、形式だけで合法と認めるべきではない。
  • 2社間ファクタリングの実質規制
    売掛債権の回収を利用者が行う形態のファクタリングについては、一定の条件下では貸金と見なす法整備を。
  • 顧問弁護士の倫理規定の厳格化
    違法行為の助長や正当化に加担する弁護士に対する制裁や倫理監査の強化。

こうした制度改革がなされない限り、「合法」を装った搾取は今後も続くことになります。被害者が泣き寝入りしないためにも、早急な法整備が必要です。

最後に──共感と連帯を

このコラムは、単に違法業者を批判するものではありません。もっと大きな問いを投げかけています。

「私たちは、社会的に弱い立場に追い込まれた人々にどんな支援をすべきか?」「法とは誰のためにあるのか?」

ファクタリングという金融スキームの陰に潜む搾取構造を明らかにし、声を上げた埼玉の弁護団の行動には深い共感を覚えます。そして、こうした動きが全国に広がることを切に願ってやみません。

被害者救済の前に加害者支援を──そんな逆転現象が今も法曹界で起こっているという事実に、私たちはもっと敏感であるべきです。