行政の“通り一遍注意喚起”に潜む無責任──大阪府サイトを斬る

不存在債権は「詐欺か?」「不当原因給付か?」

大阪府が発信する以下の注意喚起ページは、ご覧になった通り、異様なまでに常套文句の羅列で、利用者への配慮を欠いた冷たい文章だと言わざるを得ません。

「ファクタリングの利用に潜む『偽装ファクタリング』に注意しましょう!」
・買取業者との契約書に「売買契約」である旨が明確に定められていない
・売掛債権が回収できない場合に、不払い債権の支払いを求められたり…
・売掛債権を売却したのに、売主が債権を全て回収するまで買取代金の一部しか支払わない…

見出しに“注意しましょう”とあるものの、その後に続くのは単なるチェックリストのような箇条書き。言葉の強弱はあるものの、具体的な事例も被害報告も、行政が支援する意図もなく、無機質で表面的。これでは、まるで“読んどいてね”レベルの通達にすぎません。


① 警告の域を出ない“形式的”サイト構成

まず、大阪府のこのページには、次のような特徴があります。

  • 更新日が2017年4月18日と、実に8年前。
  • ページ下部に「このサイトの情報は役に立ちましたか?」というクリック選択式アンケートがあるが、そこに寄せられた利用者の声は反映されていない。
  • 啓発ポスターの画像リンクなども張られているだけで、「相談窓口はこちら」といった具体的行動導線はない

これは――行政が「とりあえず注意喚起しました」という形だけ整えるため、形式上“やってます”感を出しておけばいいという姿勢に他なりません。


② 危険性の示し方が平板すぎる

上記の箇条書きは、つまるところ「契約書に売買と書いてない」「回収できないと後からお金を請求してくる」といった程度の記述です。問題はそこから、実際にどれほどの被害が出たのか、どのような悪質業者に関する相談が府に寄せられているのかにまったく触れていないこと。つまり、読者にとっては「何が怖くてどう避ければいいか」がまるで見えてきません。

たとえば「こういう契約書には要注意」と、契約書の条文のサンプルや「被害事例」として「売掛金100万円が戻らず×名が被害相談」などのリアルな実態があれば、読む側の理解も危機感の共有も進みます。それがない。


③ 行動喚起ゼロ、支援体制不在

このページは「ヤミ金融に気をつけて」「契約確認をしっかりと」「高額手数料を請求されたら法律違反の可能性あり」などを示唆するのみですが、それに続くのは「きちんと契約書確認しましょう」など、あくまで個人や事業主の自己防衛に委ねる姿勢。行政が本来すべき、例えば:

  • 無料相談窓口の常設
  • 契約書チェックの代行
  • 実態調査や業者の実名公表、警告

……といった実効性ある対策は一切示されていません。大阪府が本気で2社間ファクタリング被害を防ぎたいなら、行政独自の調査結果を出すか、民間・弁護士・金融庁との連携窓口の仕組みを構築すべきです。


④ 制度疲れか? 鉄壁の責任回避

8年前の更新しかされず、現在広がっている「どう見ても貸金に見えるスキーム」や「SNSでの個人向けファクタリング※」には一切言及すらありません。しかも「給料ファクタリング」も含めて、すべて一括で“注意を呼びかける”だけ。大阪府が知らないはずはなく、知らない振りをして見て見ぬふりを続けているように見えてしまいます。

行政ではよくある「制度疲れ」に陥っている――すなわち、注意喚起はしたのだから、あとは勝手にやってくれ、後は関係ない、という態度。これが、市場にまかせるという大義名分であれ、本音では「関わりたくない」が勝っているのだとすれば、実に残念です。


⑤ 「予備知識以上、実効性未満」

最後に、行政は対象である中小事業者や個人事業主が「情報弱者」だと十分理解しているはずです。それなのに、注意文を読むだけで済むような体裁にしておく――それでは、ネット検索すら難しい人への恩恵はないと言っていいでしょう。実際、大阪府サイト内検索ですら、「ファクタリング」で引っかかりにくく、たどり着くまでに手間がかかります。

言葉を選ばず言えば、「安くて早い」という魅力に騙されやすい層に向けた**“広報活動ごっこ”**に甘んじているだけではないのか――そんな印象を強く抱きます。


本当の注意喚起とは?

本来なら、大阪府にはもう一歩踏み込んでほしい。

  • 悪質業者の実名を公表し、被害内容とともに注意を呼びかける
  • 中小企業向けに独自の弁護士相談窓口を設置する
  • 法律違反事案(貸金業登録なし、利息制限法超過など)を財政課や商工労働部が積極的に調査・摘発する
  • 県内の商工会議所や市役所が連携し、巡回式の「無料契約書相談会」を実施する

――これが行政の本分であり、今すぐ取り組むべき政策です。「通り一遍注意しましょう」で終わりではありません。


結び

大阪府は“注意喚起をしたからOK”と胸を張ってはいられません。実際に被害にあった事業者、一歩踏み出せずに悩む人たちを前に、行政はもう“建前”を超えて、具体的かつ踏み込んだ支援に乗り出すべき段階に来ています。単なるリスク表示ではなく、制度疲れから脱し、本気で被害を減らす行動を求めたいところです。