「ファクタリング会社による“脅し”の正体──二重利用をめぐる虚構と欺瞞」

ファクタリングのトラブル

序文:この情報、本当に正しいのか?

ファクタリング会社のホームページに堂々と記された「二重利用がばれた場合の対処」なる一文──そこに綴られている内容は、一見すると“正義の鉄槌”のように見えるかもしれない。しかし、その裏側には、法的根拠の欠如、故意の誤認誘導、利用者の恐怖心を煽る構図が透けて見える。これは単なる「注意喚起」などではない。法律を装い、利用者の無知を突いて支配しようとする“欺瞞のマニュアル”に他ならない。

本稿では、ファクタリング会社によるこの欺瞞的な「対応マニュアル」のおかしな点を徹底的に指摘し、なぜこのような記述が悪質であり、根本的に法理に反しているのかを明らかにする。


第一の欺瞞:「代金を支払わない」という無責任

「売掛債権の二重利用がばれたら代金を支払わない」

これが、果たして正当な商取引における姿勢だろうか? “二重譲渡”という論点が存在したとしても、まず第一に確認すべきは、どの譲渡が優先されるのかという法的な順位の問題である。

2社間ファクタリングでは、第三債務者(売掛先)への通知・承諾がない限り、債権譲渡は対抗要件を欠く。すなわち、「債権の優先権」ではなく「対抗関係の不備」であり、真に優先されるのは通知・承諾を得た側、あるいは供託された債権の帰属先である。よって、単純に「二重利用だから支払わない」とするのは、法的に誤った論理であり、債務不履行の口実に過ぎない。

このような対応を行うファクタリング会社は、契約上の義務を一方的に破棄するだけでなく、法理的整合性を軽視し、「強者による支配」を正当化しようとしている。


第二の欺瞞:「売掛先に通報」という暴力的手段

「売掛先に報告される」

この記述の背後にあるのは、“脅し”という明確な意図である。ファクタリング会社が売掛先に対して、「この会社は二重利用をしている」などと通知する行為は、刑法上の信用毀損罪業務妨害罪に該当しうる重大な行為である。

利用者と売掛先との取引関係は、単なる経済的利害関係ではない。長年の信頼と信用で築かれたビジネスの基盤だ。そこに外部業者が一方的な判断で「不正行為の通報」を行うというのは、明らかに過剰介入であり、法的にも民事上の損害賠償請求の対象となる恐れすらある。

にもかかわらず、それを当然のように「処置」として記載していること自体、倫理観の欠如、法的思考力の不在を示している。売掛先への報告は“最終手段”ですらない。むしろ、訴えられるべきはファクタリング会社の側である。


第三の欺瞞:「利用拒否」という常套手段

「今後の利用を拒否されます」

これはもはや脅迫の域である。信用供与を拒否するのは企業の自由ではあるが、それを「二重利用を理由に」という明確な差別的行為として記すこと自体に問題がある。

ここで注意すべきは、「二重利用」なる表現の曖昧さである。実際には、架空債権や詐欺的な譲渡が行われた証拠もない段階で、ファクタリング会社が一方的に「二重利用だ」と断定しているケースが多い。つまり、疑いだけで“信用の死刑宣告”を下すわけである。

これは金融取引の世界ではあり得ないレベルの乱暴さだ。ファクタリング業者は、取引を断る権利はあれど、業界ルールや法の支配を超えて“制裁者”になれる立場にはない


第四の欺瞞:刑事訴訟の幻想

「刑事訴訟と民事訴訟の2つがあり、両方の処置がされる可能性もあります」

この一文が最も悪質である。まるで「詐欺罪で捕まるぞ」と利用者を恫喝しているように見えるが、果たして**“二重利用”だけで詐欺罪が成立するのか?**

結論から言えば、原則として成立しない。なぜなら詐欺罪における構成要件は以下の通り:

  1. 他人を欺く意図(欺罔行為)
  2. 相手がそれにより誤信すること(錯誤)
  3. 財産的処分行為
  4. 被害の発生

そして何より重要なのは、“騙す意思”の存在証明である。たとえ債権を二重で譲渡していたとしても、それが故意であったと立証できなければ、詐欺罪は成立しない。しかも、事後に返金の意思や対応がなされていれば、「騙し取る意志がなかった」として立件される可能性はさらに低くなる。

それを知ってか知らずか、ファクタリング会社はこの「刑事訴訟」の文字を、まるで「死刑宣告」のように振りかざしている。これは恐喝まがいの言説であり、法を知らぬ者への洗脳と支配の構造を示すものだ。


結語:ファクタリング会社の“法外”な振る舞いを許すな

法に基づかないルールをでっち上げ、「二重利用」という言葉で顧客を縛り、恫喝する──これが、現在一部のファクタリング会社が行っていることの正体である。こうした記述が平然とウェブサイトに掲載されている現状は、まさに“野放図な無法地帯”である。

本来、ファクタリングという仕組みは、資金繰りに苦しむ企業を支援するための健全な金融サービスであったはずだ。しかし、そこに介在する事業者のモラルと法意識が著しく低ければ、それはただの“合法ヤミ金”であり、“脅迫ビジネス”へと堕落する。

このコラムを通じて明らかにしたかったのは、「法的知識を持たない者が搾取される構造」そのものに他ならない。我々がすべきは、こうした構造に沈黙することではなく、声を上げ、是正を求め、そして疑問を持ち続けることだ。

最後に、もしこのような「処置通告」を受けた方がいるならば、一人で悩まず、まずは法律の専門家に相談してほしい。 そこからが、支配される世界からの第一歩である。