「ファクタリング無法状態」の警鐘中小企業も、大手企業も無関係ではいられない

不存在債権は「詐欺か?」「不当原因給付か?」

以下、WEB上で見つけた、弁護士 中谷仁亮氏のNOTE記事「ファクタリングの厳しい問題状況を知ってください」を引用・整理したコラムです。

「ファクタリングに明確な法律や所管の官庁はない、ということです。すなわち、ファクタリング業は、いわば無法状態にあることを、まずは知っていただきたいと思います」

冒頭から強烈な文言です。中谷氏は「企業に関係するすべての皆様」に向けて、ファクタリングが現在“法規制が全くない状態”であることを強調。そこには、法的グレーだけでは済まされず、「野放し」の金融慣行を放置する社会構造への強い警戒がにじんでいます。
解説:なぜ「無法状態」と呼べるのか?

本来、金融取引には貸金業法や利息制限法などの規制が働きます。しかし、ファクタリング(債権の売買)にはその枠組みから外れ、高額手数料にも制限がない。この「利ザヤ取り放題」の構造が、多くの業者参入と過酷な取引実態を生んでおり、破綻寸前の中小企業を直撃しています。
二者間ファクタリングとは何か?
実態は「貸金」と区別不能

「二者間ファクタリングは…外形上、金銭消費貸借契約に酷似します」

中谷氏は、典型的な2社間ファクタリングの構図を解きほぐします。売掛先への通知を行わず、回収・返済が“顧客→業者”で閉じられる構造は、貸金契約と見紛うばかり。しかも、いつ通知・登記されるか分からない「通知権」や「登記設定権」を業者が保持することで、顧客に心理的・経済的圧迫をかける点は、まさに“生殺与奪”の構造。
問題の本質:「実質で判断すべき」視点

ファクタリングは「売買」に見えるが、実質は「貸金」。これを規制の網から免れたまま放置すれば、貸金業同様の高利取引とそれに伴う破産者・自殺者の連鎖が避けられない。従来、貸金の上限が年20%(利息制限法)であるのは、過去の商工ローンでの悲劇が示しているにもかかわらず、ファクタリングにこれが適用されない現状は極めて異常です。
手数料は高利金利を越えた“天井知らず”
企業の命がけ資金調達を、業者は利ザヤに変える

「二者間ファクタリングの手数料金額は天井知らずであり…年換算で数十%から数百%の手数料を収受するものが多くあり」

ファクタリング業者は「デフォルトリスクを負っているから高額が妥当」と主張する。しかし、中谷氏は「大企業相手であっても同様の手数料が取られている事実」を指摘。これは、リスク負いという名目ではなく、資金困窮者への搾取を正当化する口実以外の何物でもありません。
問題の構図:返済→借り換え→返済の無限ループ

中谷氏はこの構造を「麻薬」と呼びます。利用者は一度楽を覚え、その後、返済ができずに借り換えを重ね、高額手数料を払い続ける。最終的に手元資金は枯渇し、債権者による通知・登記で経営継続は不可能に。まさに「資金繰りの墓場」と言える仕組みです。
顧客経営者の孤立と自死リスク
“知られざる現場”で起きている悲劇

「顧客経営者は…周囲にすら相談できずに孤立する傾向があります」

「…自殺しようと包丁を所持しているところを警察官に保護された」

これは単なる経済の問題ではなく、社会の問題。周囲に言えず借金を重ね、孤独と絶望から周囲を巻き込む悲劇すら現実に起きている。旭川地裁の事例(2023年10月判決)を引いて、中谷氏はその深刻さを告発します。
再び「ヤミ金」と同構造
偽装ファクタリングではなく、構造的ゾーン

「債権売買契約を繰り返させる二者間ファクタリングは…ヤミ金の手口とも非常によく似ています」

ヤミ金融の「ジャンプ」や「追い貸し」手法と、ファクタリング業者の繰り返しの債権買戻し、通知圧力による支配構造は違いがほとんどない。匿名の個人とは異なり、事業者は役員・社員・取引先への影響を担うリスクも高い。金融の社会的責任に背く極めて危険な慣行です。
違法性は未確定だが“白でも黒でもない”グレーゾーン
最高裁の判例が待たれる状況

「二者間ファクタリングの違法性は…まだ答えが出ていない問題である」

現時点では貸金業法や出資法の「貸付」に該当するか否かは、裁判所の判断が分かれている状況。金融庁も、実務において「ノンリコースの有無」「通知・登記事項の有無」など、実態重視で判断すべきとガイドラインを出しています。要は、契約書の文言だけで判断せず、実際の経済構造に基づく判断が求められているのです。
今後に向けた提言
法整備と裁判所の判断を待つしかない時代

中谷氏は最後に現実解として、次の3点を提案します:

最高裁による判例法の確立

立法による規制の整備

当面の対応として利用者と周囲への啓発

金融の秩序を守るためには、「法的グレー」を合法として放置しない覚悟と制度的根拠が不可欠です。
「救済」ではなく、抜本改革を
実態に即して制度を規制せよ

本記事で中谷氏が描くのは、ファクタリングという一見便利な資金調達手段の裏側で広がる構造的不正義と、それによる破綻・孤立・自死に至る社会的悲劇。そして、これを放置すれば「歴史は繰り返す」と警鐘を鳴らします。

誰もが資金繰りに悩む現代社会において、制度への“救済”を謳う前に、まずは構造の危険性を見据えた規制が求められています。中谷氏のNOTEは、そうした視点からの問題提起として、極めて重要な価値を持つものであり、多くの企業、行政、金融機関、弁護士が真剣に向き合うべき内容です。