株式会社SePasが公開した「ファクタリング活用による中小企業の資金繰り改善事例」なるプレスリリース(@Press掲載)は、一見、中小企業支援を装ったような体裁をとっている。しかしその実態は、二社間ファクタリングという“合法ヤミ金”の宣伝であり、あまりに一方的で無責任な内容に驚かされる。
当該リリースは「ファクタリングによってキャッシュフローが改善され、黒字化が実現できた」などと礼賛しているが、その言説にはあまりに重大な事実の欠落がある。とりわけ、東京弁護士会が2020年に明確に指摘したように、「2社間ファクタリングは実質的に高利貸付であり、偽装ファクタリングに他ならない」という本質をまったく無視している点は極めて問題である。
■ 法律家の見解すら黙殺する「無邪気な宣伝」
東京弁護士会は公式声明(2020年5月)で次のように述べている。
「譲渡通知がされず、かつ償還請求権・買戻し請求権が残されるファクタリング契約は、形式上の売買を装った実質的貸付であり、貸金業法・出資法の規制を受けるべきものと考える」
(東京弁護士会「偽装ファクタリングに関する意見書」)
にもかかわらず、今回の記事では「キャッシュフロー改善」「金融機関に頼らない資金調達」といった、業者側の営業トークをそのまま並べているだけである。利息や手数料の水準にすら一切言及せず、具体的なリスクについても触れていない。
このような発信は、**情報弱者を狙った“合法詐欺の温床”**になりかねない。広報記事であっても、最低限の社会的責任と倫理があるはずだ。
■ 利用者の現実は「キャッシュフロー改善」どころではない
ファクタリングを利用する中小企業経営者は、そもそも資金繰りが限界に達し、他に選択肢がなくなった末の“最終手段”として契約せざるを得ない状況にあることがほとんどである。そして契約後には、以下のような地獄が待っていることが多い。
- 売掛債権に譲渡禁止特約があり、契約自体が無効になる可能性
- 売掛先への通知なしに債権譲渡したことによる取引関係の悪化
- 表面上は「売買」だが、実態は年利100%を超える貸金に等しい
- 返済不能に陥った場合、口座凍結や強引な取り立てが行われる
実際、旭川地裁の2023年判決では、ファクタリングの繰り返し利用によって経営者が精神的に追い詰められ、自殺未遂に至った事例が認定されている。このような重大な社会問題が表面化している中で、「黒字化」「経営改善」などと能天気に喧伝する広報記事が公然と出回る現状は、報道・広報モラルの重大な崩壊である。
■ 広告で装う「救世主」──しかし実態は“抜け出せない罠”
ファクタリングは一度使えば、翌月にはまた資金不足に陥る。入金を前借りしただけに過ぎず、構造的には資金繰りの先食いであり、リボ払いのような悪循環に陥る。
しかも、そのたびに10〜30%という手数料が発生する。言い換えれば、売上の2〜3割を業者に抜かれる仕組みだ。これが「経営改善」などとどうして言えるのか。
プレスリリースでは、何の検証もなく、「ファクタリング活用で資金調達が円滑に」「経営に余裕ができた」といったフレーズが並ぶ。だがこれは、サラ金やヤミ金が「即日融資でピンチを脱出!」と喧伝していたのと何ら変わらない。違法性の有無ではなく、倫理的に破綻しているのだ。
■ 最後に――“情報”が弱者を追い詰める時代に、問われる責任
金融リテラシーの低い層ほど、こうした記事を「助け船」だと誤認する。そして契約に至り、逃れられない泥沼に引き込まれる。事実、ネット上にはファクタリング被害者の悲鳴が多数投稿されているが、その多くが「広告を見て申し込んだ」という経緯を持っている。
「掲載する側には責任はない」などという時代は終わった。被害が現に生まれている以上、加害の片棒を担いでいるという自覚が必要だ。
株式会社SePasとホームズをはじめ、こうしたプレスリリースを無批判に流すすべてのメディアに対し、私たちは声を上げねばならない。
キャッシュフロー改善の裏に、命と尊厳を踏みにじられた人がいる。
その事実を見ないふりして、メディアもまた加害者になる。

