「短期支援」の皮を被った長期収奪——2社間ファクタリングはなぜ“辞められないビジネス”なのか

ファクタリングのトラブル

いま、ネット上には「ファクタリング」「資金繰り 即日」「売掛金現金化」といったワードで検索をかければ、無数の2社間ファクタリング業者の広告が表示される。その中には「5万円から利用可能」「手数料5%〜15%」という耳障りのいい謳い文句を並べ、資金繰りに困窮する事業者に対して“救いの手”を差し伸べているように見せるものもある。

だが、その仕組みを少し掘り下げて見ただけで、この「やさしい金融」の仮面の裏側にある、執拗で冷酷なビジネスモデルが見えてくる。「継続利用を前提にしなければビジネスとして成立しない」この構造こそが、2社間ファクタリングのもっとも深い闇である。

表向きは「お手軽」だが、計算すればすぐ分かる“破綻”

あるファクタリング会社の広告には、こう書かれていた。「手数料5〜15%、利用金額は5万円からOK」。

では仮に、あるフリーランスが5万円の売掛金を15%の手数料でファクタリングに出したとしよう。差し引かれる手数料は7,500円。業者がこの一回の取引で得られる利益は、この7,500円から営業マンの人件費、契約対応、電話応対、顧客管理、郵送費、そして何よりもリスティング広告費を差し引いた“残り”だ。

はっきり言おう。1件あたり7,500円では、この商売は絶対に回らない。

特にリスティング広告は、Googleなどの広告単価が高騰しており、「資金調達」「ファクタリング」といった商材は1クリックで500円〜1,000円前後のコストがかかることも珍しくない。仮に100クリックで1成約だとして、広告費だけで5万円を得るために1,000円×100回=10万円が必要だ。これは極端な仮定ではない。実際、広告市場に身を置く者であれば常識の範囲内である。

つまり、1件7,500円の取引で利益を出すには、よほど他のコストを削るか、あるいは何度も何度も継続的に利用させることを前提にしなければ成り立たないのである。

「1年続けてもらえれば黒字になる」――この冷静な皮算用こそが本質

たとえば、毎月5万円を15%の手数料で継続ファクタリングさせた場合、1年で15%×12回=180%の手数料、すなわち合計9万円となる。ようやくこの時点で、広告費や人件費を考慮しても業者側が“採算ラインに乗る”。

これこそが、このビジネスの本質だ。

ファクタリング会社にとって最も重要なのは、「5万円の1回きりの取引」ではなく、「15%で1年継続して搾取できる顧客」なのである。

だからこそ広告には、「柔軟対応」「審査不要」「即日OK」「税金滞納中でもOK」と、あらゆる“甘言”を並べて、一刻も早くファクタリングの沼に引きずり込むことが優先される。資金繰りに悩む者ほど、その甘い言葉にすがりついてしまう。その心理を熟知しているからこそ、こうした業者は広告表現を徹底的に“マイルド”にしているのだ。

なぜ「辞められない」のか?——それは“売掛金に手を付ける”から

ファクタリングが危険なのは、一度手を付けると抜け出しにくくなる点だ。これは貸金とは決定的に違う。

借金であれば、収入が入れば返済に充てられる。だが、ファクタリングの場合、売掛金=将来の収入そのものを先に現金化してしまうため、翌月の資金繰りが必ず“ショート気味”になる。これがループを生む。

たとえば、月末に5万円の売掛金をファクタリングしてしまうと、本来翌月に入ってくるはずだった5万円がすでに使われてしまうため、翌月もまたファクタリングが必要になる。しかも手数料が差し引かれるため、手元資金は常に目減りしていく。

これを1年も繰り返せば、損失は累積し、事業の健全性は完全に崩壊する。

その時点で、業者にとっては“優良顧客”の完成である。

「5%〜15%」というレンジ設定のトリック

また、「手数料5%〜15%」という表現も、よく使われるトリックの一つだ。こうした業者は、見せかけの低金利(5%)を前面に出しながら、実際には顧客の信用スコアや契約条件などを理由に「今回は15%で」と高率で押し通す。そもそも5万円のような少額利用においては、「与信リスクが高い」などと理由をつけてほぼ自動的に15%が適用される

つまり、この“5〜15%”という幅は、広告表現上の誤魔化しであり、実際の運用は常に業者に有利な高率へと誘導されている。

結論:これは「事業支援」ではない、「持続可能な搾取」である

一見すると、「5万円から使える」「即日対応」「審査なし」といった表現は、忙しい事業者の味方のように見える。だが、その実態は「継続的に搾取できる小口顧客の囲い込み」に他ならない。

5万円という少額ファクタリングでさえ、15%を適用すれば1年間で9万円の手数料収入になる。その間、顧客は資金繰りに追われ、二度と自力で回復できないような財務体質に陥る。これは一種の“サブスクリプション型金融収奪”であり、あえて辞めさせない仕組みに満ちている。

もはやこの種の2社間ファクタリングは、事業支援でも資金調達でもない。**合法の皮を被った“持続的収奪装置”**である。

「一度きり」で終わらせられると思っているそこのあなた。甘い。業者が欲しいのは、あなたの“今月”ではなく、“来年まで”のあなたなのだ。