粉飾広告と脱法スキームの危険性
「最低手数料率を保証します」
「注文書・見積書でも即日資金化可能」
「1%からご対応」
そんな魅惑的な言葉を並べて、急激に広告出稿を増やしている2社間ファクタリング会社――その名は「アウル経済」。2024年後半から一気にリスティング広告市場で存在感を強め、資金繰りに悩む中小企業を“甘い言葉”で次々と囲い込んでいる。
だが冷静に見ていただきたい。このビジネスモデルは、もはや正当な金融スキームではない。
ファクタリングの名を借りた“金融風ヤミ金”。それが実態だ。
■「最低手数料保証」の罠──それ、価格競争ですか?
個のファクタリング会社が誇る「最低手数料保証」。
一見、消費者保護的に見えるこのフレーズだが、よく考えてみてほしい。手数料が「融資の金利」ではないと言い張るファクタリング業界において、なぜ“最低保証”が可能なのか?
それは、そもそもこの「手数料」とやらが、まったく客観性のない“言い値の世界”であるからに他ならない。
例えば、ある会社が10%で他社からファクタリングを受けていたとしよう。その証憑を提示すれば、アウル経済は9%で買い取ってくれるらしい。だが、元々“債権売買”という建前である限り、金利のように利率計算される法的根拠もなければ、原価も見えない。つまり、「安く見せかけて、高く売る」手口が横行しているだけなのだ。
そもそも、債権の信用リスク、取引先の支払い実績、譲渡適格性の有無といった審査項目を一切明示せず、ただ手数料率だけで価格競争を煽ること自体が、極めて不健全である。
■「注文書ベースでも資金化可能」──それ、債権じゃありません
同社の広告でさらに目を引くのが、「請求書の発行前でも注文書ベースで資金化可能」という記述。
これは法的には致命的な表現だ。
債権とは、法律上「給付請求権」が成立した時点で初めて発生する。注文書は取引先が「購入の意思」を示したにすぎず、支払い義務はまだ発生していない。つまり、そこに“売るべき債権”など存在しないのだ。
それでも「資金化」するということはどういうことか? 答えは簡単。
それは“債権”ではなく、将来の売上を担保にした無登録融資行為=貸金業だということ。
このようなスキームで資金を提供する場合、当然ながら貸金業法の規制が適用される。ところがアウル経済をはじめとする多くの業者は、「これはあくまで債権の売買です」と主張し、貸金業登録をしていない。ここに脱法性の本質がある。
■“手数料ビジネス”の化けの皮を剥ぐ
2社間ファクタリングは、そもそも「第三者通知を行わず、債務者の承諾も取らない」という点で極めてグレーなスキームだ。
買掛先に通知がなければ、取引先はファクタリングの存在を知らない。つまり、「譲渡が確定していない債権」を売買している状態が常態化している。
このような取引において、リスクを全て負うとされるファクタリング業者が、1%〜5%といった低率の手数料で対応できるはずがない。実際のところ、申し込み後には「書類審査の結果」や「信用状況の判断」により、手数料は10%、場合によっては20%以上になるのが実情だ。
つまり、「1%から」「最低保証」はすべて“おとり文句”。
広告上のフックで顧客を誘い込み、実際には足元を見た手数料を突き付ける――これは典型的な情報非対称性を悪用した詐欺的営業手法である。
■リスティング広告の急増は“自転車操業”の裏返し
このような業者が、ここ最近リスティング広告を急増させている背景には、明確な“危機感”がある。
一つは、電話営業や飛び込み営業では獲得単価が合わなくなってきたこと。もう一つは、既存顧客がリピートしてくれないという問題である。
ファクタリングが真に有益な資金調達手段であるならば、一度使った企業は継続的に利用するはずだ。だが現実には、「一度使ったら、もう二度と使いたくない」と言わせるほどの搾取構造が常態化しており、顧客満足度は極端に低い。だからこそ、広告費を膨らませて“常に新規客”を獲得しなければ立ち行かない。
この構造は、過去の悪徳商法――情報商材、自動車ローン焦げ付き回収、投資詐欺などと全く同じだ。
資金需要が尽きた瞬間に、自転車操業は転倒し、倒産、行政処分、そして刑事告発へと至るのが“お決まりのコース”である。
■ファクタリングを名乗る資格すらない
ここまで来ると、このような業者に“ファクタリング”を名乗る資格すらないと断じてよい。
債権の実体すら曖昧な状態で、相手先に通知もせず、実質的には貸金を行い、返済できなければ訴訟や差押えという圧力をかける。
これは、いわば「ファクタリングの皮をかぶった貸金業」、その実態は「金融風ヤミ金」にほかならない。
健全なファクタリング市場とは、三者間で債権譲渡の事実を明示し、債務者も認識した上で適切な資金調達がなされる形であって、広告で客を釣り上げ、実態のない注文書を根拠に金を貸し付け、暴利を貪るビジネスモデルでは決してない。
■結語:虚偽広告を野放しにしてはならない
この会社の掲げる「最低手数料保証」「注文書でも買取」は、金融実務や法規制を真っ向から否定する“まやかしの言葉”だ。
法務省、金融庁、国民生活センターには、こうした広告表現と実態の乖離に目を向け、消費者保護と中小企業救済の視点からの監視強化を即刻求めたい。
そして、ファクタリングを検討する経営者の皆様には、目先の資金に惑わされず、冷静な判断を持つことを強く願ってやまない。
もはや、これは資金調達ではない。“罠”である。

