“資金調達”の皮をかぶった罠──2社間ファクタリングが生む犯罪者と地獄の構図

ファクタリングのトラブル

被害者か、加害者か。歪んだ金融モデルが招く倒錯の現実

かつて「資金繰り支援」と称された2社間ファクタリングは、いまやその化けの皮を完全に剥がしつつある。
それは救済でも成長支援でもない。ただ、弱った中小企業をカモにし、追い詰め、時に「犯罪者」にまで転落させる金融の皮をかぶった商業装置だ。

とあるネット掲示板に投稿された事例が象徴的だ。
金策に困った相談者は、Twitterで目にした「資金調達できます」という誘い文句に応じ、ファクタリング会社を利用。だが、提示できる売掛金がなかったため、存在しない債権をでっち上げて虚偽申請を行った
審査は驚くほどあっさり通り、資金は即座に振り込まれた。だが、返済期日を迎えると、事態は一転する。

「返済確認ができない場合、取引先に確認し、虚偽申請が発覚すれば被害届を出し、横領罪で訴訟します」

こうした脅しとも取れるメッセージが届き、相談者は自己申告を行う。
すると今度は、「これは横領罪で訴訟を起こす案件だ」と一方的に通告され、“加害者”として扱われる立場へと転落していった──


■誰も彼もが「犯罪者」になり得るシステム

このようなケースにおいて、確かに売掛債権の存在を偽る行為は、詐欺罪に該当し得る重大な問題だ。
だが、見落としてはならないのは、こうした事態が「利用者の倫理崩壊」で単純に片付けられる構図ではないという点だ。
なぜなら、多くの2社間ファクタリング会社が、“存在するかどうかすら確認しない”ほど、ずさんな審査と即日入金を売り文句にしているからである。

あたかも「審査が甘い」「バレない」「急いでいるあなたに最適」と誘い、いざトラブルになれば「お前が騙した」と罪を被せる。
この構造は、金融とは名ばかりの、罠である。


■“虚偽申請”が常態化する土壌

法的には、債権譲渡はあくまで実在する取引に基づくものでなければならない。
だが、現在の2社間ファクタリング市場では、次のような構図が見受けられる:

  1. 売掛先への通知が不要である
  2. 売掛債権の真正性確認が「形式的」になりやすい
  3. 書類を“整える”代行サービスやアドバイスまで横行している
  4. 「とにかく通る」ことが優先され、契約締結ありき

つまり、業者側もある程度は“嘘がある”と理解しながら、リスクを顧客側に全押しする契約を結んでいるに等しい。
これは金融ではなく、劇薬の押し売りであり、社会構造にとって有害ですらある。


■“自己申告すれば和解”という卑劣な誘導

今回の投稿者は、ファクタリング会社から「虚偽があるなら、自己申告すれば和解できます」と告げられた。
だが、実際には自己申告後も「これは訴訟案件だ」と態度を翻されている。
これは明らかに、刑事リスクを材料にした“司法取引まがい”の交渉であり、常識的なビジネス手法から逸脱している。

法的に見れば、和解とは当事者双方の合意によって成立するものであり、一方的に和解が保証されるものではない。
しかも、本件が「横領罪に該当するかどうか」についても、弁護士は明確に疑問を呈しており、むしろ詐欺の可能性が高い。
つまりこの業者は、法律用語を並べ、罪名をちらつかせながら、相手の恐怖心をあおって自白させたに等しい。

これが「金融機関」と呼べるのだろうか?


■グレー金融に堕ちた“ファクタリング”の末路

かつてのファクタリングは、BtoB取引におけるリスク分散やキャッシュフロー改善を担う、一定の社会的機能を持つ制度だった。
だが、それを2社間という非通知モデルにしてからというもの、売掛債権の存在証明が曖昧化し、債権の“仮装”や“水増し”を助長するような構造が常態化した。

そして今、その歪んだ構造に手を染めた人間が、自己破産では済まず、詐欺犯、横領犯、さらには刑事被告人として追い詰められている。
金融商品とは、適切なルールと監視のもとで提供されるべきものだ。
だが、2社間ファクタリングはそれを無視し、「民法上の債権譲渡だから合法」と逃げる。
そして都合が悪くなれば「お前の虚偽が原因だ」と開き直る。

これはもはや共犯構造そのものではないか。


■金融庁の無策、法整備の欠落、そして放置される加害者=被害者

こうした構造を許している最大の責任は、制度設計と監督官庁の不在にある。
ファクタリングは「債権の売買」であり、貸金業に該当しないため、金融庁の監督外。
登録も許認可も必要なく、極端な話、名刺一枚で開業できてしまう。

その結果、以下のような地獄が生まれている:

  • 利用者はすぐに現金が欲しくて手を出す
  • 業者は手数料名目で数十%を差し引きながら、責任は一切負わない
  • 嘘があっても確認せず、後から「訴訟します」と脅す
  • 返済できなければ「横領犯」「詐欺師」として扱われ、人生を潰される

このシステムは、加害者と被害者を入れ替え、**経済的困窮者を刑事責任に追い込む“合法詐欺構造”**そのものである。


■結語:「救い」のはずが「地獄」への片道切符に

今回の投稿者は確かに虚偽申請を行った。だが、その背景には「通るから」「すぐ振り込む」「大丈夫」という業者の甘言があったのではないか。
そして、いざ返済できなくなれば「横領」「被害届」と告げられる。
どちらが悪質なのか──それは容易に判別がつくだろう。

資金繰りに悩む中小企業を「手数料ビジネス」の餌にし、法の監視を逃れて暴走を続ける2社間ファクタリング。
制度として破綻しているのは明らかであり、もはや「自助努力」とか「自己責任」などという言葉では済まされない。

この地獄を見過ごしてはならない。
そして、これ以上“犯罪者にされた人間”を生み出してはならない。