いま、2社間ファクタリングの広告や情報サイトの多くが、一見「誠実そうな顔」で登場する。
「ファクタリングは危険ではない」「悪徳業者に注意しましょう」「正しい業者を選びましょう」――そんな文言を並べ、まるで自分たちは健全で安全な存在であるかのように見せかける。
だが、それらの言説を精査すると、底が浅い欺瞞と責任転嫁に満ちた自己保身の塊でしかないことが浮き彫りになる。
■「やばいのは他の業者です」という自白
「ファクタリングはやばいという噂がありますが、それは一部の悪徳業者によるものです。当社は優良ですからご安心を」
こんな言い回しは、今やどこの2社間ファクタリング業者のサイトでも常套句となっている。
だが、ここで問いたい。一体、誰が「悪徳業者」なのか?
自らが悪徳業者でないという根拠はどこにあるのか?
何をもって「優良」と言い張れるのか?
この手の論法は、結局こういうことだ。
「ファクタリングが“やばい”という事実は認める。でも、それはウチじゃない。ウチ以外が悪い」
これは、泥棒が「俺は他の泥棒と違ってちゃんとマナーを守って盗んでます」と言っているのと同じ構図だ。
■「金貸しじゃないから合法」という詭弁
ファクタリング業界が一貫して使い続けているもう一つの逃げ口上がある。
**「ファクタリングは貸金業ではないから利息制限法の適用を受けません」**という文言だ。
確かに、民法上の債権譲渡であれば、貸金業法の適用対象外である。
だが、問題はその「形」ではなく、「実態」である。
手数料が30%、40%に及び、支払期限が1ヶ月未満――
こうした条件の“買取”が、形式上「売買契約」だとしても、実質は高利の融資と何ら変わらない。
現に、司法判断でもファクタリングを偽装した貸付とみなされるケースが増えており、裁判で「違法な高金利」と認定され、返金命令が出た事例すら存在する。
それでもなお、「金を貸していないから関係ない」と主張する業者は、まるで「人は刺していない、包丁を見せただけだ」と言い訳する暴漢に似ている。
■「正しい知識があれば安全」は加害者の論理
さらに業者はこう続ける。
「正しく知れば、安全に使える。リスクを理解していない利用者に問題がある」――と。
だが、よく考えてほしい。
この主張は、たとえ契約内容が理不尽でも、「読んでなかったあなたが悪い」と突き放す、詐欺的商法と同じ理屈ではないか。
そもそも、中小零細企業の経営者が切羽詰まっているときに、契約書の細部を冷静に読み解く余裕などあるはずがない。
そして、そこにつけ込むようにして、“即日入金”“柔軟審査”“秘密厳守”などの甘い言葉が並ぶのだ。
利用者にだけ「リテラシー」を求めるのは、まさに詐欺師が被害者の無知を責める構図そのものである。
■「悪徳業者に気をつけろ」と言う悪徳業者
何より滑稽なのは、「悪徳業者の見分け方」を指南するページのほとんどが、自らがその特徴に当てはまっているという点だ。
例:
- 「手数料が曖昧な業者は注意しましょう」
→あなたのところも“○%~○%”としか書いてませんよね? - 「見積書が不透明な業者は避けましょう」
→一括手数料に“諸経費込み”としか書いてませんが? - 「優良業者は実績がある」
→設立わずか1年のあなたが“数千件突破”と謳う根拠は? - 「相談は金融庁や弁護士会へ」
→ファクタリングは金融庁の監督外、弁護士も困惑するグレー案件だと認識してますよね?
このように、「他が悪い」と言いながら自らもその“悪い例”をなぞっている。
善人の仮面を被った悪党。
それが2社間ファクタリング業者の常套スタイルなのだ。
■何が「合法的な資金調達」なのか
「合法的に資金調達できる手段」と業者は繰り返す。
だが、それはあくまで民法のグレーゾーンを逆手に取った抜け道であり、利用者が安心して使える“制度”では決してない。
- 債権の真贋確認もまともに行わず、数時間で数百万円を渡す
- 売掛金の支払い遅延があれば、訴訟や刑事告訴をちらつかせて脅迫
- 本来は金銭貸付と変わらぬスキームで、法外な「手数料」を収奪
- 延滞すれば、夜中に連絡、売掛先への暴露、社長の家族への連絡まで行う
これが“合法”だというのなら、法制度そのものが暴力の片棒を担いでいるということになる。
■真のリスクは「倒産」ではなく「共犯者にされること」
業者は「繰り返し利用で倒産リスクが高まる」と警告するが、現実にはそれどころではない。
最大のリスクは、共犯者にされることだ。
本来存在しない債権を提示し、資金を得たと見なされれば、詐欺罪。
売掛先に無断で契約を進めた場合は、背任や横領の構成要件に該当する可能性。
そして、それを助長・誘導するような営業を行っていたのは、他ならぬファクタリング業者自身である。
「書類を整えてください」「形式だけでもあれば審査通りますよ」
そんな一言が、経営者の人生を終わらせる刑事罠になりうるのだ。
■結語:もう“自浄作用”には期待できない
この業界はもう限界だ。
善人を装った業者による情報操作、自作自演の“啓発”、責任転嫁の構造は崩壊している。
一方で、国の規制は依然として緩く、被害は増え続けている。
本当に守るべきは、資金繰りに苦しむ事業者であり、
悪徳業者の「マニュアル通りの言い訳」ではない。
2社間ファクタリングは、制度としての抜本的な規制強化と、
既存業者の一掃がなければ、もはや経済犯罪の温床としてしか機能しない。
甘言に騙される前に、まずこの業界そのものに疑義を持つべきだ。
「他が悪い」と言う者ほど、自らが最も悪質である――この事実を忘れてはならない。

