「ファクタリングは貸金ではありません」。
この常套句は、いかなる根拠に基づくものだろうか。顧客に資金調達の正当性を信じ込ませ、法律の網をかいくぐろうとする業者が口を揃えてこう言う。しかし、現実にはその“ファクタリング”と称する行為の多くが、実質的には貸金業そのものであり、しかもそれは無登録・高利・違法な取引である可能性がきわめて高い。
今回、弁護士・荒木誠氏が自身の法律ブログで提示した見解は、この疑念に法的な裏付けを与える。
荒木氏はファクタリングと貸金業の境界線について、「債権の譲渡を装っているが、実態としては貸付にすぎない取引」が相当数存在しており、これは貸金業法違反に該当する可能性が高いと警鐘を鳴らしている。
特に問題なのが2社間ファクタリングと呼ばれる形式だ。これは「売掛先に知られずに売掛金を売却できる」という謳い文句で、多くの中小企業経営者を誘惑する。しかしこの取引形式では、ファクタリング業者(ファクター)は売掛先から回収を行わず、資金提供後のリスクを譲渡者にそのまま負担させる構造になっている。
つまり、万一売掛先からの入金が滞れば、ファクターは譲渡者に「買戻し義務」「損失補填」「再譲渡の強要」など、実質的に“返済”を迫る。その本質はどう見ても「貸金」だ。
にもかかわらず、彼らは「これはあくまで債権譲渡であり、貸付ではない」と主張し、貸金業登録をせず、利息制限法の上限を大幅に超える手数料(20%、30%、場合によっては50%超)を合法的な“手数料”と偽装して徴収している。
荒木氏が指摘するように、貸金業法の定義には「売渡担保その他これらに類する方法による金銭の交付」も含まれており、ファクタリングの形式を取っていても、その実態が貸金であれば当然貸金業法の規制対象となる。そしてそれを“業として反復継続的に”行えば、無登録の時点で違法業者認定である。
それでもなお、堂々と営業を続ける業者が後を絶たないのはなぜか。
理由は明白である。監督官庁が機能していないのだ。金融庁も財務局も、ファクタリング業者に対してほとんど監視の目を向けていない。業者は「債権譲渡」という法律上のグレーゾーンに居座り続け、数多くの中小企業を餌食にしている。
しかも、最近では弁護士・税理士・行政書士といった、本来は企業の味方であるべき士業までが、堂々とファクタリングのアフィリエイトに手を染めている。中立であるべき立場の者が、高額な手数料を正当化する論調を流布している状況は、極めて憂慮すべき事態である。
中には「最低手数料を保証」「他社より安くします」などと謳い、まるで価格競争をしているかのような業者すら存在する。まさに闇金と同じ論理だ。価格の高低以前に、構造が違法であるか否かが問われるべきなのに、それを消費者に「比較検討」させること自体が欺瞞なのだ。
私たちはこのまま、こうした“貸金偽装ビジネス”を野放しにしてよいのか?
「ファクタリング」という言葉が無条件にクリーンなものとして認識され、危険性が周知されないままに利用が拡大するならば、それはやがて第二のヤミ金問題として社会に爆発的なダメージを与えるだろう。
弁護士・荒木氏のような良心ある法曹による警鐘は、氷山の一角にすぎない。
だが、それでもこの種の発信がある限り、我々は声を上げ続けることができる。
「2社間ファクタリングは、形式こそ譲渡だが、実態は貸金である」と、
そして「その大半が、無登録かつ高利の違法行為である」と。
中小企業を本当に支援するなら、偽りの資金調達ではなく、正規の金融インフラと再建支援体制が必要だ。
2社間ファクタリングの名の下に、中小企業を合法風に追い込む「新たな合法ヤミ金」が跋扈する現実を、決して見過ごしてはならない。

