ネット上に乱立する2社間ファクタリングの業者サイト。その多くが「お客様の声」と称して“成功事例”を掲載していますが、その中には明らかにツッコミどころ満載の「美談」が並んでいるケースも散見されます。今回は、ある業者が自社サイトに掲載している事例紹介から、2社間ファクタリングの実態と、その危険性を読み解いていきます。
“ブラックでも大丈夫”が危険な理由
ある運送業者の証言によると、「過去に債務整理をしてブラック状態だったが、150万円の資金調達ができた」とのこと。ここで問いたいのは、“そもそも債務整理をした人物が、ファクタリングで資金調達できていいのか?”という点です。
通常、金融機関では信用情報にキズがある人への融資は慎重になります。それが当然です。にもかかわらず、「ファクタリングは借金じゃないから審査がゆるい」との論法で、ブラックでも堂々と資金を提供しているこの仕組みは、実質的にノンライセンス・ノンチェックの貸金行為とすら言えるでしょう。
確かに、法的には“売掛債権の売買”ですが、実態は「一時的に資金を渡して、後日回収する」という構造そのもの。形式だけの売買契約で実質は貸付という脱法構造に、金融当局が本腰を入れて規制を始めるのも時間の問題です。
「即日入金」「柔軟対応」――それ、本当に安心ですか?
次に注目すべきは、「申し込んだ当日に買取りから振込みまで対応してくれた」という文言。たしかに迅速対応は助かりますが、**債権の法的適格性のチェックはどこに行った?**という話になります。
売掛債権には多種多様なリスクがあり、架空売上や二重譲渡の危険性もあるにもかかわらず、その場で信じてすぐに現金化するというビジネスモデルは、まさに「スピード第一、安全性は二の次」の典型例。
特に問題なのは、「他社で断られた案件でも、ここは柔軟に対応してくれた」と喜んでいる記述。裏を返せば、リスク管理の甘さを営業トークに変えているだけとも読めます。断った他社が健全で、受け入れたこの会社が無謀だった――そんな可能性も否定できません。
ファクタリングなのに「分割」「長期契約」って何?
とりわけ突っ込まざるを得ないのが、マンションオーナーのケース。「特殊な支払いサイトでも応じてくれて、長期間の契約にも対応」とありますが、ここにファクタリングの根幹を揺るがす問題があります。
本来、ファクタリングとは「既に発生し、期日が決まっている売掛債権を売却して早期資金化する」ものです。ところが、この事例では、分割払いや長期契約に応じるという記述があり、もはやそれは債権譲渡ではなく、返済付きの貸付ではないか?とすら疑いたくなります。
こうした“なんちゃってファクタリング”が横行することで、本来の健全なファクタリングの信用まで失われる結果となっており、真面目な事業者や金融機関にも大きな迷惑です。
「手数料が安い」に騙されるな
手数料の高さを理由に他社から乗り換えたという記述もありますが、そもそも2社間ファクタリングの手数料相場は**売却債権額の10~30%**とも言われており、これは普通に借入をするよりも高額です。
それでも“借金じゃないから”という言い訳で、「信用情報に影響しない」「財務に載らない」と喜ぶ経営者が後を絶たない。しかし、財務に載らない=見えない負債であることを忘れてはいけません。
税務署や取引先からすれば、急に現金が増えたことの説明を求められるケースもあり、実態の開示が求められる局面では、“隠し資金調達”が逆に信用を損ねるリスクもはらんでいます。
“満足の声”の裏にあるもう一つの顔
ファクタリング会社が掲載する「お客様の声」は、企業側の広告戦略の一環にすぎません。中には本当に助かった人もいるでしょうが、多くの場合は、“融資不可”な層を取り込むための勧誘文句に過ぎません。
「ブラックOK」「審査なし」「即日対応」「手数料安い」――これらの言葉に共通するのは、通常の金融機関が絶対にやらないことだという事実。裏を返せば、金融の王道を外れた手法でしか商売できない業者たちの断末魔とも言えます。
まとめ:名前を変えた“闇金”にご用心
法的には“債権譲渡”。でも実態は“見えない借金”。それが2社間ファクタリングのグレーな現実です。しかも今回紹介した事例では、過去に金融事故を起こした人物に対しても、ノーガードで資金を流し込む体質が浮き彫りになりました。
結論として言えるのは、「貸せない人に金を回す」手法が、名前を変えて市場に横行しているということ。これはもはや、堂々と看板を掲げた「合法風の闇金」と言っても過言ではありません。

