「大手だから安心だろう」
「手数料2%なら、銀行より安いかもしれない」
そんな経営者心理を巧みに突くのが、最近増えている大手消費者金融系列のファクタリング広告です。
「最短2時間」「手数料2%〜」──一見すると救世主のように見えるこの宣伝。
しかし、その裏側は、合法ヤミ金の新しい顔に過ぎません。
以下では、ある中小企業A社(仮名)が実際に体験した、手数料2%の“地獄”の全貌を追ってみます。
① 甘い広告に飛びついたA社の社長
A社は従業員10人の小さな製造業。
メイン取引先からの入金が2週間遅れることになり、資金ショートの危機に直面していました。
「銀行は時間がかかるし、カードローンは枠がない…」
焦る社長の目に飛び込んできたのが、大手消費者金融系列のファクタリング広告でした。
「手数料2%〜」
「最短2時間で入金」
「取引先に知られない2者間契約」
社長は、「大手だし、2%なら問題ないだろう」と即決。
オンラインで申し込みを済ませると、30分後には担当者から電話が入りました。
② “2%”は最初だけの幻想
見積書が届き、驚愕します。
- 売掛債権額:300万円
- 手数料率:15%
- 振込額:255万円
- 返済期日:30日後
「手数料2%じゃないんですか?」と社長が抗議すると、担当者はこう説明しました。
「広告にある“2%〜”は、あくまで条件が揃った場合の最低ラインです。
通常の2者間ファクタリングは10〜20%程度が一般的なんですよ」
ここでキャンセルもできたはずです。
しかし、焦りで冷静さを失っていた社長は、「もうこの選択肢しかない」とサインしてしまいました。
③ 年利換算で25%超──資金繰りはさらに悪化
翌日、A社の口座に255万円が着金。
しかし、ここからが本当の悪夢の始まりでした。
1ヶ月後、300万円の売掛金は取引先から無事に入金されます。
しかし、この300万円はそのままファクタリング業者に支払い。
実質、1ヶ月で**45万円(15%)**ものコストを支払った計算です。
仮にこのペースで1年続けたとすると、**年利換算で25〜30%**に達します。
銀行ローンの上限金利が年15%程度であることを考えれば、完全に「合法ヤミ金」です。
④ 返済できなければ“通知”で心理的圧迫
さらに恐ろしいのは、返済できなかった場合のリスクです。
ファクタリング業者は、契約時には「取引先には通知しません」と約束していても、
返済が遅れた瞬間に債権譲渡通知を送る権利を持っています。
A社の社長は一度、返済を5日遅延しました。
そのとき担当者からこう言われます。
「このままでは御社の取引先に債権譲渡の事実を通知せざるを得ませんね」
つまり、「秘密にする」という約束は、業者にとっての交渉カード。
社長は恐怖で眠れず、親族にまで頭を下げて借金を工面し、なんとか支払いを済ませました。
⑤ 大手がやるからこそ、問題は深刻
本来、こうした高額手数料ビジネスは“悪徳業者”の領域でした。
しかし、今では大手消費者金融までもがこの領域に参入し、
堂々とリスティング広告で「2%〜」と謳う時代になっています。
問題は、大手企業がやっているからこそ、「安心だ」と思い込んでしまう利用者が急増していることです。
広告の美辞麗句に釣られた結果、実質年利25%以上の“合法ヤミ金”契約を結んでしまう中小企業が後を絶ちません。
⑥ まとめ──「合法ヤミ金時代」に騙されないために
- 「手数料2%〜」は、まず嘘だと思え
- 大手だから安全、は幻想
- 2者間ファクタリングは実質的に貸付と同じ
- 返済遅延すれば、秘密は簡単に破られる
- 本当に必要なのは、短期資金繰りの仕組みの見直し
大手消費者金融がファクタリングに参入したことで、
**“合法ヤミ金時代”**はすでに始まっています。
そして今後、この動きはさらに加速するでしょう。
広告に踊らされず、数字を冷静に計算できるかどうかが、企業経営者の生死を分ける時代になったのです。

