最高裁が出て来ないのは「裁量」ではなく責務放棄だ — 司法をぶった切る

不存在債権は「詐欺か?」「不当原因給付か?」

被害者が積み上がり、社会問題になっているのに、最高裁が明確な判断を出さない──
これを「司法の慎重さ」と甘く言い換えるのはもう終わりにしましょう。
最高裁が出てきて、法の解釈を統一し、被害回復の道筋を示すことが司法の仕事です。
それをやらないで済ませることは、事実上の見殺しです。


1)最高裁が判例を出さない「構造的理由」とその欺瞞

法律実務や裁判手続きに明確な理由があるのは事実です。しかし、それを被害者放置の言い訳にするのは許せない。

  • 形式主義と契約自由の虚飾
    下級審は「当事者間の合意」や「売掛債権譲渡の形式」を理由に形式論で逃げます。だが形式を守ることと「社会の実態に即した法の適用」は別問題。司法は「経済実態」を踏まえる義務がある。
  • 三権の責任押し付け合い
    立法が動かない、行政が管轄を押し付ける──その結果「司法判断待ち」と言う。しかし司法が黙っていると無限ループに陥る。最高裁が曖昧であることは、事実上の放置を意味する。
  • リスク回避と先例回避
    最高裁が国や強い経済利害と対立するのを避けるために判例化を避ける。だが司法は公正を旨とする機関であり、利害を恐れて正義を後回しにする資格はない。

2)法的に最高裁が出るべき「争点」──裁判所が判断すべき核心点

最高裁判例を出すに値する、明確な法的争点を列挙します。これらは単なる理屈ではなく、実務で最高裁に投げるべき「上告理由」です。

  1. 形式(売買)か実質(貸付)かの再評価
    • 売掛債権譲渡と称していても、資金提供の実態や契約条項(償還請求、手数料の算定方法、回転的な利用、返済義務の実質)であれば、貸金業法・出資法の適用を否定できないか。
  2. 実質年率・預金流出入の評価基準
    • 手数料と期間から換算した「実質年率」が社会通念上著しく高率である場合、公序良俗違反や出資法違反が成立するか。
  3. 債権譲渡の名目で消費者保護法制を回避できるか
    • 債権譲渡の形態を取ることで、消費者保護や貸金業規制の対象外とすることは許されるか。
  4. 不誠実な取引・説明義務違反
    • 被害者が誤認して契約した点(手数料の総額、償還請求権の意味等)に関して、説明義務違反や詐欺的表示は成立しないか。

これらの争点を最高裁が明確に判示すれば、下級審の形式的逃げは一掃されます。


3)最高裁判例を引き出すための「実務的ロードマップ」 — 戦術と手順

最高裁に上告させるには、単に個別の勝訴を求めるだけでは不十分。戦術を練って意図的に「法的意義のある争点」を作る必要があります。

ステップA:事実整理と証拠の“正準化”

  • 契約書・手数料明細・振込履歴・業者とのやり取り(メール録音)を徹底収集。
  • 「実質貸付」を示す典型的ファクト(定期的な手数料徴収、返還請求、売掛先の信用調査・管理、強制執行の示唆等)を整理してテンプレ化。
    → 同一構造の複数事案でパターンを示すことが重要。

ステップB:下級審で「法解釈の対立」を生む

  • 同種事案を異なる高裁で争わせ、**判旨の分岐(法解釈の不一致)**を意図的に作る。最高裁が介入する典型的トリガーは「下級審の判断が分かれていること」です。
  • 弁護士は、下級審で「ここが法律問題だ」と明確に争点を提示し、上告理由(法律解釈上の重要性)を作る。

ステップC:上告理由の戦術化

  • 上告(最高裁)に行く場合、単なる事実審の争いではなく、①法解釈の統一、②公益性、③同種事案の急増性を強調する。
  • 「最高裁で判例化すれば、被害者救済および法秩序の安定に資する」ことを論理的に説明する書面を作成する。

ステップD:並行する社会的圧力の形成

  • 最高裁判例を引き出すためには司法だけに任せない。同時に社会的圧力(独立系メディアの露出、被害者ネットワークの可視化、学術的論文、NGOの報告書)を作成し、司法に「この問題は社会的に放置できない」と認識させる。
  • 弁護士会の一部・学者・消費者団体と連携し、最高裁に送る意見書(学術的・社会的意義を説明)を用意する。

ステップE:資金と支援の確保(プロボノ/クラウドファンディング)

  • 被害者多数の訴訟は費用がかかる。プロボノ弁護士やクラウドファンディングを活用して、判例化まで継戦できる資金・人員を確保する。

4)市民・弁護士が今すぐできる具体的アクション(チェックリスト)

  • 契約書・領収書・振込の証拠を必ず保存。
  • 同一パターンの被害者を見つけて共同で訴訟を検討(事実の共通化が鍵)。
  • 「法解釈の対立を作る」ため、発生地域を分散させて裁判を起こす(異なる高裁での判断を誘発)。
  • 学者や消費者団体に提携して、学術報告・政策提言をまとめる。
  • 弁護士は「上告想定」の立証計画を早期から立てる(単発勝訴で終わらせない)。

5)反論されそうな論点への先回り反駁

  • 「立法の方が先だ」という言い訳:司法には解釈と救済の役割がある。立法不作為を司法が見て見ぬふりするのは無責任。
  • 「契約自由の原則」:契約自由は絶対ではない。公序良俗や消費者保護の観点で制限されるべき事案がここにある。
  • 「判例作りは時間がかかる」:時間がかかるならこそ、率先して最高裁が指針を示すべきだ。被害は日々増えている。

結語(ぶった切りの締め)

最高裁よ、出て来い。
法を形だけで守るなら司法の意味はない。
形式論で被害者を突き放すなら、その裁判所は司法ではなく裁約の番人にすぎない。
最高裁が「実質」を見極めることで、被害の洪水は止まる。
それを怠るなら、司法は自らの権威も正義も投げ捨てることになる。

——今この瞬間からできることは明白だ。
弁護士は訴訟を構造化せよ。被害者は声を集めよ。学者は法理を示せ。市民は圧力をかけよ。
最高裁に判例を出させる道は、戦略と実行しかない。怠慢を正すのは私たちだ。