企業経営者にとって資金繰りの悩みは尽きない。銀行融資が難しい、支払期限が迫っている、そんな状況で「ファクタリングならすぐ資金化できます」という甘い誘い文句が目に入る。
一見すると便利そうに見えるが、ここに潜むのは「合法ヤミ金」とも呼ぶべき危険な仕組みだ。特に深刻なのが、支払い遅延をめぐるトラブルである。
1. 売掛先はちゃんと払っているのに「資金ショート」
通常の2社間ファクタリングでは、利用者が売掛先からの入金を一度受け取り、その後ファクタリング業者に支払う。
ところが、問題はここで起きる。
経営が苦しい企業は、受け取った売掛金をまず自社の緊急支払いに回してしまう。税金や仕入れ、人件費など「今日を乗り切る支払い」に消えるのだ。
その結果、ファクタリング業者に渡すべき資金が手元に残らない。
つまり、売掛先はきちんと支払っているのに、ファクタリング業者への支払いだけが滞るという構図が日常的に発生している。
2. 遅延損害金と違約金のダブルパンチ
ここからが本当の地獄だ。
ファクタリング業者は契約書を盾に、支払いが遅れた利用者に対して「遅延損害金」や「違約金」を容赦なく課す。
その利率は常識外れだ。実質的に年利100%を超えることも珍しくなく、契約内容によっては400%を超えるケースすらある。
つまり、ほんの数日遅れるだけで雪だるま式に債務が膨らむ。
「手数料」と名付けられているが、実態は高利貸しそのもの。
利用者は気づかぬうちに、脱法的な「合法ヤミ金」にがんじがらめにされていく。
3. 違法取り立ての実態
さらに悪質なのは取り立てだ。
一部の業者では、担当者が直接会社に押しかけ、**「支払うまで帰らない」**と居座るケースまである。
これは貸金業法で禁止されている典型的な違法取り立て行為だが、ファクタリング業者は「これは貸付けではなく売買契約だから規制対象外だ」と居直る。
実際には、利用者を威圧して支払いを迫る点でヤミ金と何ら変わらない。
事件化していないだけで、現場レベルでは違法スレスレの取り立てが日常的に行われているのだ。
4. 「遅延=即アウト」という構図
経営者の感覚では「少し遅れても支払えば大丈夫」と思いがちだ。
しかし、ファクタリングの世界では遅延は即アウト。
遅延損害金、違約金、さらに強引な督促によって、資金繰りは一瞬で詰む。
つまり、ファクタリングは資金繰り改善の手段どころか、むしろ破滅への加速装置になっているのだ。
5. 事例風のシナリオ
ある製造業の経営者A氏は、月末の仕入れ代金をどうしても工面できず、2社間ファクタリングを利用した。
売掛先からの入金があったものの、従業員の給料と急な取引先への支払いに流用。結果、業者への送金が3日遅れた。
その時点で業者は契約条項を持ち出し、**違約金50万円+遅延損害金年率180%**を請求。
さらに担当者が毎日のように会社に押しかけ、経理担当に「社長に今すぐ連絡しろ」と詰め寄った。
結局、A氏は追加で銀行から高利の借入をして支払う羽目になり、資金繰りは完全に崩壊した。
6. 弁護士の警鐘
弁護士から見れば、これらは「合法の皮をかぶった高利貸し」でしかない。
売掛金を売却する契約の体裁を取っていても、実態は高金利の貸付け+違法取り立て。
つまり「脱法金融=合法ヤミ金」の典型だ。
まとめ:遅延は地獄の入り口
ファクタリング業者の宣伝文句は「即日入金」「安心の資金繰り」だ。
だがその裏側では、遅延損害金・違約金・違法取り立てがセットになって待ち構えている。
「少し支払いが遅れただけ」で会社が地獄に突き落とされるのが、偽装ファクタリングの真の姿だ。
これこそが、ファクタリングを「合法ヤミ金」と断じざるを得ない最大の理由である。

