“合法ヤミ金”の実態と行政の怠慢――2社間ファクタリングの闇を問う

ファクタリングのトラブル

資金繰りに行き詰まった中小企業や個人事業主にとって、
「即日入金」「審査なし」「赤字でもOK」といった言葉は、救いのように響く。
だが、その多くが2社間ファクタリングという“合法ヤミ金”の入り口であることを、
どれだけの人が知っているだろうか。


■ 表の顔は「債権譲渡」、裏の顔は「超高利貸し」

2社間ファクタリングとは、企業が保有する売掛債権を業者が買い取る形で資金を供給する仕組みだ。
形式上は「融資」ではなく「債権の譲渡」とされる。
そのため、貸金業法の対象外であり、金融庁の監督も受けない。

だが、実態を見ればその構図は単純だ。
業者は「手数料」と称して売掛金の3割から5割を差し引き、
入金が遅れれば「返金義務」や「違約金」を迫る。
この手数料を年利換算すれば、400%を超えるケースも珍しくない。

つまり、“融資ではない”という建前のもとに、
実質的な高利貸しが公然と行われているのである。


■ 法の死角を利用した脱法金融

問題の根本は、現行法がこの行為を明確に規制できていないことにある。
貸金業法は「金銭の貸付」を対象とするが、
ファクタリングはあくまで「債権の譲渡」――すなわち“モノの売買”として扱われる。

行政はこの線引きを理由に、業者を監督対象外として放置してきた。
だが、形式を盾に実態を無視する行政姿勢は、
法の理念そのものを裏切るものではないか。

取引の当事者である中小企業側は、
「合法」と言われれば信じてしまう。
だが、実際には手数料負担で経営が崩壊し、
最終的に破産や廃業に追い込まれるケースが後を絶たない。


■ 「静かな行政放置」が被害を拡大させる

消費者庁も金融庁も、2社間ファクタリングを「グレーゾーン」として扱ってきた。
その背景には、「金融取引ではないため所管外」という逃げの論理がある。

一方で、警察も民事不介入の姿勢を崩さない。
業者による過剰な取り立てや取引先への連絡行為があっても、
「契約上の行為」として処理される。

つまり、行政・司法のいずれもが責任を回避しているのだ。
この「沈黙の共犯構造」こそが、被害を深刻化させている最大の要因である。


■ 実態に即した制度改革を

必要なのは、法形式ではなく実質的判断の導入である。
契約の名目にかかわらず、
実態として融資と同等のリスクを負わせている場合には、
貸金業法の適用対象とする。

さらに、

  • ファクタリング業の登録制・監督制度の創設
  • 手数料の上限規制の導入
  • 不当な取立行為の禁止条項の明文化
    が急務である。

「金融の新形態」を理由に放置するのではなく、
現実の取引実態を正面から捉え直す法体系への更新が求められている。


■ 「善意の経営者」が食い物にされている

ファクタリング被害者の多くは、
決して無謀な経営者ではない。
「従業員の給与を守りたい」「納税を遅らせたくない」――
そうした善意の判断が、合法を装う業者の格好の餌食となっている。

彼らは声を上げにくい。
「借りた自分にも責任がある」と思い込んでしまう。
だが、その沈黙を利用しているのが業者の側である。
いま必要なのは、被害者に恥を感じさせない社会的理解だ。
行政が公式に「不当取引」と認定するだけでも、
救われる人は格段に増えるだろう。


■ 「法の網の目」ではなく「人の目」で守れ

法の網の目をすり抜けるビジネスは、常に存在する。
だが、行政が“形式の外”を見ようとしない限り、
そのたびに新しい被害が生まれる。

2社間ファクタリングは、
日本の金融行政が抱える制度疲労の象徴である。

“グレーゾーン”とは、
決して放置の免罪符ではない。
そこにこそ、最も手厚い監督と救済が必要なのだ。


■ 結語――「正義なき合法」に未来はない

「合法だから安全」という言葉ほど危険なものはない。
法の隙間を縫って暴利をむさぼる行為を、
社会が黙認する理由はどこにもない。

行政が静かに傍観する間に、
多くの事業者が倒れ、雇用が失われ、
地域経済が蝕まれている。

今こそ、政府・立法府は“形式”ではなく“実態”を直視し、
「合法ヤミ金」という不正義を断つ法改正に踏み出すべきである。