【シリーズ:ファクタリング業界の虚構構造】

ファクタリングのトラブル

第1弾:デジタル時代の合法ヤミ金

――〈実態編〉「金融ではない」という言葉の裏側に潜む構造的暴利


■ 「金融ではない」という免罪符

 近年、「金融ではない資金調達」と称して広がるファクタリング。
 その説明の常套句は、「売掛金の買取だから貸付ではない」というものだ。
 一見、法的には正しい。
 だが、その一言が社会的モラルを大きく踏み外している。
 なぜなら、そこにあるのは“貸す・借りる”という経済関係そのものであり、
 形式をすり替えただけの実質的な金利取引だからだ。


■ 手数料の正体は「利息」にほかならない

 たとえば60日後に支払われる100万円の売掛金を、
 いま85万円で買い取る契約を結ぶとしよう。
 差額の15万円は「手数料」と呼ばれる。
 しかし、その15万円を年率換算すれば約90%――
 つまり、法定上限金利の4倍以上に相当する。
 しかもこの「手数料」には、利息制限法も出資法も適用されない。
 これが“合法ヤミ金”と呼ばれるゆえんである。


■ 法律の外側で成長する市場

 貸金業法の枠外にいるということは、
 登録義務も、金利上限も、顧客説明責任も、事実上存在しないことを意味する。
 ファクタリング業者の多くは、「買取契約です」「債権譲渡です」と言い張る。
 だが契約書をよく見れば、支払期日に売掛金が入らなければ
 利用者が全額を肩代わりして返金するという条項が入っている。
 これは名目上の「買取」ではなく、実態として返済義務付きの貸付である。
 つまり、制度の“外側”に金融を作り、
 法の目をすり抜けて暴利を合法化しているのである。


■ デジタルの陰に隠れた“構造的暴利”

 かつてのヤミ金は路地裏で現金を貸し、取り立て屋が動いた。
 だが今の“合法ヤミ金”は、
 WEBフォームひとつで契約を完結させ、AIでリスク査定を行う。
 つまり、暴利がテクノロジーに偽装されている
 顧客の経営データは自動で収集され、
 「即日入金」「AI審査」「来店不要」といった言葉が信頼の装飾として並ぶ。
 だが、その裏で高利手数料と情報収集システムが一体化し、
 “速さと利便性”の名のもとに倫理が切り捨てられている。


■ 誰も止められない“グレーゾーンの経済”

 行政も警察も、この構造には踏み込めていない。
 なぜなら形式上、貸金ではなく商取引だからだ。
 金融庁の監督下にもなく、消費者庁の規制にも掛からない。
 グレーゾーンというより、“無法地帯”に近い。
 そしてこの構造を支えているのは、
 ネット広告によって大量に集められた「資金難の中小事業者」だ。
 困窮層をターゲットにした広告が検索上位を占拠し、
 彼らを“即日資金調達”の名のもとに吸い上げる。


■ 「合法ヤミ金」という言葉のリアリティ

 いまや“ヤミ金”は暴力ではなく、情報で支配する時代に入った。
 恐喝も取り立てもない。
 しかし、金利換算すればヤミ金以上の搾取構造が黙認されている。
 それを支えるのが、「合法」「金融ではない」という言葉の魔法だ。
 制度が想定しなかった取引形態を盾に、
 “合法的な形で人の困窮を収益化する仕組み”が出来上がっている。


■ 結語:形式の合法、実態の不正義

 法に触れなければ正義なのか?
 そう問いたくなるほど、この業界は形式の巧妙さで生き延びてきた。
 だが、その巧妙さがいま、社会全体の倫理感を蝕んでいる。
 「貸さないから貸金業ではない」――
 そんな論理の延長線上にあるのは、責任の消失であり、
 制度の信頼を骨抜きにする“灰色経済の蔓延”である。
 デジタル時代のヤミ金は、もう暴力ではなく構造だ。
 合法という名の安心感の裏で、
 いまも静かに、人々の信頼と希望が換金され続けている。