二社間ファクタリング被害者の声 ― 三浦孝一さん(仮名)の証言

ファクタリングのトラブル

「継続利用という罠」

私は宮城県で小さな運送会社を営んでいます。社員は3人、家族経営のようなものです。取引先は地場の建設会社や資材店が多く、支払いは月末締めの翌々月払い。入金まで60日以上かかることもあります。その間も燃料代や人件費の支払いは待ってくれません。資金繰りが苦しいとき、ネットで見つけたのが「請求書を即日買取」という広告でした。

正直、最初は怖かったです。金融の知識もなく、融資を断られた経験もありましたから。でもそのサイトには「融資ではない」「借金ではない」「信用情報に載らない」と書いてあり、手数料が明示されていたのもあって、安心して申し込みました。実際、初回は30万円を申し込んで即日で21万円が入金され、残りの9万円が手数料と言われました。30%。高いとは思いましたが、そのときは助かったという気持ちが強かったのを覚えています。

問題は、そこからです。
1回使うと、担当者から頻繁に電話が来るようになりました。「次の案件でもご利用いただけますよ」「常連さんには優遇枠もあります」と。まるでリピートを促すような口調でした。私も油断しました。2回目、3回目と使ううちに、手数料の高さが麻痺していったんです。実際には、30%というのは“月換算ではなく数週間単位”。冷静に計算すれば、年利に直せばとんでもない数字です。でも、資金が必要なとき、人はそんなこと考えません。

あるとき、「優良顧客には特別プランがあります」と案内を受けました。少しでも安くなるならと申し込んだのですが、結果的には以前よりも多くの書類を出させられ、結局は同じ30%の手数料。しかも、「次の案件も予定があれば、今のうちに審査しておきましょう」と半ば強引に次の利用を促されました。そのころにはもう、完全に依存状態です。

本来なら1回使えば済むところを、半年間で7回も利用しました。請求書を出すたびに、手元に残るのは本来の金額の7割だけ。運転資金が減るのを穴埋めするために、また次の請求書を売る。この繰り返しです。まさに“資金繰りの自転車操業”。

ある日、経理を手伝ってくれている妻が気づきました。「これ、もう商売になってないんじゃないの?」と。計算してみると、手数料だけで1年に100万円以上払っていました。しかも、利用回数が増えるたびに、業者は「取引が安定してますね」と持ち上げてきます。まるで依存を喜んでいるようでした。

最終的には、燃料代が払えずトラックを一台手放しました。社員にも給料を遅らせてしまい、信用を失いました。
後になって弁護士に相談したとき、「これは実質的に貸付と同じ構造だ」と言われました。けれど、契約書には“請求書売買”と明記されており、法的にはグレーゾーン。結局、取り返すこともできませんでした。

今振り返ると、怖いのは“1回目で助かった”という経験です。あの瞬間の安堵感が、すべての判断を狂わせました。業者はその心理をよく知っている。だから「優良顧客」「継続利用」「特別枠」といった言葉で、少しずつ深みに誘ってくるんです。

便利さの裏に潜むのは、出口のない仕組みでした。
そして私は、あのときの30万円を手に入れるために、1年後には150万円を失っていたのです。