二社間ファクタリングの裏側 ― 元紹介業者の内部告白「“無料相談”の裏で何が起きていたのか」

ファクタリングの違法性と契約について

■ 無料相談は“入口”ではなく“出口”だった

私はかつて、ファクタリングの「紹介サイト」を運営していました。
名前を出せば今でも検索に出るような、あの“ランキング形式”の比較サイトです。

表向きは「事業者の資金繰りを支援する」善意のプラットフォーム。
でも、実際は違いました。
無料相談フォームに入力された情報は、即座に複数のファクタリング業者へと送信され、
最初に反応した業者に「リード(顧客情報)」として売る仕組みになっていました。

つまり、“無料相談”とは相談の入り口ではなく、情報販売の出口だったのです。
1件あたりの売買価格は5,000円から1万円。
「審査中」と表示される裏で、事業者のデータは取引され、
登録した瞬間に、電話やメールで営業が殺到する。
これが「相談したら業者から立て続けに電話が来た」という声の正体でした。


■ 営業トークの台本まで渡される

紹介サイトと業者は密接につながっており、
私の運営するサイトにも、提携業者から“推奨トーク集”が届いていました。

たとえば、

  • 「融資ではないのでブラックでも利用できます」
  • 「貸金業登録不要です」
  • 「上場企業グループなので安心です」

この3点セットは、どの業者も共通。
なかには「金融庁の指導は受けていませんのでご安心ください」という逆転した台詞までありました。

しかも、利用者の声や体験談の一部はAIで生成され、
“実在の利用者風”に加工したものを掲載していました。
報酬は1件あたり1万円〜3万円。
「手数料が安い」「即日入金で助かった」といったテンプレを入力し、
偽名と職業を設定して公開する――これが“口コミマーケティング”の実態でした。


■ 儲かるのは「紹介側」と「広告主」だけ

ファクタリング自体は“金融ではない”とされるため、広告規制もほとんどありません。
金融庁の監視が届かないグレーゾーンにありながら、
Google広告やSNS広告に堂々と出稿できる。
これが紹介業者にとっての“金のなる木”でした。

1件の成約で2万円〜5万円。
高額報酬を得るために、紹介サイトの運営者たちは競うように記事を量産しました。
「あなたの資金繰りを救う新しい選択肢」
「銀行が貸してくれない人こそチャンス」

これらの文言の裏には、“救う”意図などありません。
紹介料を得るための“誘導文”です。
私自身もその一人でした。

利用者が返済不能になっても、紹介業者には何の責任もない。
むしろ「再利用を促す」ことで、さらに報酬が増える。
つまり、被害が繰り返されるほど儲かる構造。
誰も止める者はいませんでした。


■ 法の外側に置かれた「広告代理業の闇」

この構造の恐ろしさは、誰も“違法ではない”という点にあります。
紹介サイトは金融業ではなく「広告代理業」。
ファクタリング業者は「債権買取業」。
どちらも金融庁の監督外です。

そして、この二つが組み合わさると、
**「合法の皮をかぶった広告型搾取ビジネス」**になります。

私はこの事実に気づいたとき、すでに多くの事業者が被害に遭っていました。
情報が売られ、実効金利90%を超える契約を繰り返し、
それでも法的には“合法”とされる。
それを支えていたのは、まぎれもなく私のような紹介業者でした。


■ “儲かる構造”に魂を売った代償

私は今、この業界から身を引き、別の仕事をしています。
最後にサイトを閉鎖したとき、
私の紹介経由で契約した事業者は延べ1,800人を超えていました。
そのうち、どれほどの人が破産し、どれほどの人が精神的に追い込まれたか――
正確な数字は分かりません。

ただ一つ確信しているのは、
この構造は今も形を変えて生き続けているということです。
「無料相談」「AI審査」「上場グループ」――
言葉だけが新しくなり、手口は何も変わっていません。


■ 終章 ― 「情報を渡すこと」が契約の始まり

多くの人が勘違いしています。
無料相談は契約の前段階ではなく、“契約の一部”です。
情報を渡した瞬間、あなたはもう“商品の一部”になっている。
そう気づいたときには、すでに遅いのです。