ファクタリングを装う「資金調達プラットフォーム」― 上場企業グループが仕掛ける“貸金でない金融”の正体

ファクタリングのトラブル

■ 「大手だから安心」――そう思ったのが間違いの始まりだった

「最初は完全に信じていました。だって、あの上場企業のグループ会社ですよ?」

中堅建設会社を営む古谷(仮名・45歳)は、苦い笑みを浮かべた。
資金繰りが一時的に厳しくなり、「請求書 買取 即日」と検索したときに目に入ったのが、
青と白を基調にした“信頼感”あふれるサイトだった。
「大手企業グループが運営」「全国対応」「金融庁登録不要の新しい資金調達」。
一見、まっとうなファイナンスサービスに見えた。

問い合わせフォームに入力すると、すぐに担当者から連絡がきた。
口調は丁寧だが、やたらと「本人確認」や「取引先の実態資料」を要求される。
「決算書や契約書は不要」とサイトに書いてあったのに、実際は請求書、通帳履歴、
取引メール、取引先の信用情報まで送らされた。
提出が完了するまでに4日かかった。
その時点で、もう引き返す気力はなくなっていた。


■ 「手数料30%、入金まで即日」――見えない金利の罠

請求書80万円分を提出し、買取額は56万円。
手数料30%超。
「貸金じゃなく、売買だから大丈夫です」と担当者は言った。
しかし実際には、翌月支払いの請求書を“現金化”するだけ。
実質1か月で24万円の差額。
単純計算で年利換算すると、360%を超える暴利になる。

ファクタリングという言葉を使っているが、
中身は“短期高利の貸金取引”と変わらない。
しかも、契約書には「売買契約」と明記され、
貸金業法の保護も適用されない。
「万一支払いが遅れた場合は、債権回収代行を委託する」とあり、
結果的には督促業者からの電話が何度も鳴る。

古谷は語る。
「請求書を売ったつもりが、後から“実際の入金が遅れた”と連絡が来て、
その分の違約金を上乗せされました。結局、次の案件でもまた同じことの繰り返しで、
3回目には返済不能になっていました。」


■ 「上場グループの看板」――責任の所在が消える構造

驚くのは、運営会社の表向きの顔だ。
登記簿上は「金融サービス事業」「メディア運営」。
つまり、自らを**貸金業ではなく“広告・仲介プラットフォーム”**として登録している。
実際の審査や資金提供は、グループ傘下の別法人や提携業者が行っており、
「紹介」「代理店」「広告主」という形で責任を分散。
いざ問題が起きても、どの企業が“貸した”のかが曖昧になる。

古谷が消費生活センターに相談しても、
「契約書上は売買」「法的には貸金ではないため対応が難しい」と言われた。
さらに探ると、運営元は上場企業の子会社。
そしてその上場企業は「中小企業のDX支援」「決済ソリューション」などを
うたい、金融庁の監督外で資金循環を行っている。

「結局、グループ全体で“金融の抜け道”を設計しているんです。
現場の担当者は何も知らず、形式上は全部合法。
でも実際は、弱ってる経営者の情報を集めて、
債権回収の構造に組み込んでいく仕組みなんです。」


■ 「ファクタリング」という名の仮面

古谷は言う。
「もう、“ファクタリング”って言葉を聞くだけで吐き気がします。」
一見スマートな資金サービスに見えるが、
実際には貸金業法・利息制限法・出資法の網をすり抜けた、
制度外の金融構造が拡大している。

上場企業が広告塔となり、
“金融ではない”と言い張るプラットフォームを通して、
実態は暴利の貸し付けを流通させる。
それはもはや、個人のトラブルではなく、
社会全体の信頼構造を壊す犯罪的ビジネスモデルと言っていい。


■ 編集後記(中間のまとめ)

表向きは「新しい資金調達」「請求書の売買」。
だが中身は、上場企業によって制度の抜け穴をシステム化された搾取構造である。
被害者が増えても、責任の所在はグループのどこにも残らない。
古谷の言葉が、すべてを物語っている。

「俺は、“大手なら安全”だと思ってた。でも、あれは“闇の法人化”だったんです。」