法の外側で稼ぐ ― 「監修弁護士」ビジネスの構造分析

ファクタリングのトラブル

■ 「監修弁護士」が担う“法的安心”の演出

近年、請求書買取・ファクタリングを名乗る事業者の広告には、
「顧問弁護士監修」「法令遵守体制」「安心のリーガルサポート」
といった文言が並ぶ。

しかし、これらの“法的安心”は、
本来の意味での法的監督責任の裏づけを伴っていない場合が多い。
実態としては、弁護士の「名前」と「権威」を借りた、
ブランドマーケティングの一形態に過ぎない。

つまり、「監修」とは“合法の証明”ではなく、
“合法であるように見せる演出装置”として機能しているのだ。


■ 「監修」と「責任」の切断構造

弁護士法上、弁護士が業務として関与する場合、
通常は契約内容の合法性・妥当性に責任を負う。
しかし、ファクタリング業者が用いる「監修」という肩書きは、
契約書テンプレートの提供形式的チェックにとどまる。

結果として、

  • 契約内容に実質的に問題があっても、監修弁護士は「監修しただけ」
  • 業者は「弁護士監修だから問題ない」と広告する
  • 利用者だけが法的リスクを負う

という三層構造の逃げ道が完成する。

弁護士は“法律家としての威信”を貸すだけで、
その威信は“消費者安心装置”として再利用されている。


■ 「法を守る」から「法をくぐる」へ

本来、法の専門家はグレーゾーンを減らすために存在する。
だが、現代のファクタリングスキームでは、
弁護士の役割が“グレーゾーンを安全に使うための道具”に変わりつつある。

つまり、

  • 貸金ではない形での資金提供を設計し、
  • 債権譲渡の形式を整え、
  • 監修弁護士の名前を出すことで、
    「法的には問題ない」という“構造的な合法性”を作る。

このとき、法の目的は守られていない。
守られているのは、“形式上の合法性”だけだ。
その結果、利用者の立場は法の外側に取り残される


■ 「貸金ではない」魔法の言葉

ファクタリング業界が繰り返す常套句がある。
「当社は貸金業ではありません。」

この一文によって、利息制限法も出資法も適用外となる。
だが実態は、
“支払い期限を伴う金銭の移動”であり、
“手数料”が“実質利息”として機能している。

形式上は債権売買でも、
実際には金銭を貸し付け、
それを取引先入金後に回収している。

つまり、
法的には売買、実態は貸付
これを可能にするのが、
「監修弁護士によるスキーム設計」だ。

彼らは“法を守る”のではなく、
法の定義を再構築して利益を最大化する


■ 広告代理業と法務の結託

近年、この“監修弁護士”を広告の目玉に使うケースが増えている。
特に、アフィリエイト型の集客メディアが、
「弁護士監修=安全」「法的サポート=信頼」と訴求し、
集客を最大化する。

こうして、
弁護士名が**“SEOキーワード”化**し、
法律そのものが“マーケティング資源”に変わる。

つまり、「法律の権威」はもう正義ではなく、
クリック率を上げるための素材に転化している。


■ 結論:合法の皮をかぶった法外ビジネス

現代のファクタリング被害の構造は、
「弁護士監修」という免罪符によって巧妙に覆い隠されている。

その根底にあるのは、

  • 形式的合法性を維持しながら、
  • 実質的搾取を可能にし、
  • 責任を分散させるというロジックだ。

「監修弁護士」は、法の秩序を守る存在ではなく、
法の外で金を動かす仕組みを保証する存在に変わりつつある。


■ 編集後記:安心の象徴が“共犯”に変わる時代

法の外側で金が動く時、
最も静かに、最も深く、その現場にいるのは誰か。

それは、書面の片隅に名前を残す“監修弁護士”かもしれない。