【寄稿】倒産と再起 ― 佐藤健一氏の告白 第6話:制度の狭間で ― 『救済』を名乗るビジネスの罠

ファクタリングの違法性と契約について

支援を装う“新手の金融ビジネス”

 再起に向けて歩み始めた私は、次第にある現実に直面しました。
 倒産者や事業再建者を対象とした“支援サービス”や“再建コンサルティング”の広告です。
 「あなたの信用を取り戻します」「即日資金調達可能」――魅力的な言葉が並んでいました。

 最初は希望を持って相談しました。窓口は親切そうで、書類や計画書を丁寧に扱ってくれる。
 しかし、契約を進めるうちに違和感が増していきました。手数料や成功報酬が異常に高額で、返済条件は利用者に一方的に不利。形式上は合法でも、実質的には危険金融や合法ヤミ金と変わらないのです。


脱法の巧妙さ

 これらの業者は巧妙です。法的に「貸金業者ではない」と説明し、契約をファクタリングやコンサルティング、保証料の形に変換。
 言葉の上では合法ですが、実質的には高利の資金提供や返済圧力が続きます。

 私が実際に目にしたケースでは、再建コンサル料として支払った数十万円が、追加手数料や成功報酬として積み上がり、契約者は短期間で数百万円の負担を背負うことになっていました。
 しかも、支援の進捗はほとんど報告されず、「救済」という名目が、単なる資金吸収の手段になっているのです。


制度の隙間に潜む危険

 こうしたビジネスが存在できる背景には、制度の不備があります。
 債務整理や再建支援は存在するものの、監督や規制が追いついていません。
 また、AIスコアや信用データに依存するため、低スコア者には適切な情報や支援が届かないのです。

 つまり、社会的に弱い立場の人間ほど、制度の隙間に吸い寄せられる。
 支援を名乗る業者は、その“隙間”を巧妙に利用し、利益を上げる構造になっています。


被害者の実態

 私自身、倒産後に複数の支援業者に接触しました。
 最初のうちは契約金額の少なさに安心しましたが、契約後に次々と追加料金や手数料を請求され、結局元本以上の負担を背負うことになりました。
 形式上は合法でも、実質的には再び合法ヤミ金に巻き込まれたわけです。

 こうした事例は、私だけではありません。ネット上や支援ネットワークでは、同じような体験談が多数寄せられています。
 「救済」と称するものの、実際には二重三重に費用を課し、再起の芽を摘むビジネスが存在しているのです。


情報非対称が生む二重被害

 制度と業者の間で生まれる被害は二重構造です。
 まず第一に、低スコアや過去の倒産履歴により、適切な支援にアクセスできない。
 次に、制度外の業者がその隙間を突き、形式上の合法取引で利用者を搾取する。

 倒産者や再起者にとって、最も危険なのは「安心して相談できる場所がない」ことです。
 人は困窮時に助けを求めます。しかし、助けを装った業者がその心理を利用してくる。
 その結果、再起者は再び負債と心理的負荷を抱え込むことになります。


実体験からの警鐘

 私の経験を通して伝えたいことがあります。

  1. 支援を名乗る業者の契約条件を精査すること
     形式上合法でも、手数料や返済条件が異常に不利な場合は注意が必要です。
  2. 情報を鵜呑みにしないこと
     ウェブ広告や体験談は、第三者装い型広告やステルスマーケティングの可能性があります。
  3. 制度と制度外サービスを見極めること
     再建支援制度や公的窓口は、法的に保証された支援です。
     制度外サービスは慎重に扱う必要があります。

再起には「知識」と「選択」が不可欠

 倒産後の再起は、資金だけでなく情報と判断力が命綱です。
 制度の隙間を狙う業者から自分を守るためには、知識を持ち、選択肢を慎重に見極めることが不可欠です。

 私はこの経験を経て、再起とは単なる「資金回復」ではなく、**「判断力と知識を取り戻すこと」**であると痛感しました。
 信用を取り戻すだけでなく、制度の狭間に潜む危険に対応できる力を身につけることが、真の再起への第一歩なのです。


読者へのメッセージ

 制度の狭間には、善意の支援と、搾取目的の業者が混在しています。
 倒産や債務整理の経験者にとって、「再起支援」を名乗る業者を見極める知識は命綱です。

 社会が提供する制度は十分とは言えません。
 だからこそ、私たち自身が情報を集め、学び、慎重に行動する必要があります。

 再起を志す人に伝えたい――
 救済を受ける力は、まず自分自身の判断力と知識から始まる
 それを持てば、制度の狭間で迷うことなく、再び前に進むことができるのです。