元従業員が語る:2社間ファクタリング“与信の正体”——架空請求書と“目クラ貸し”の攻防

不存在債権は「詐欺か?」「不当原因給付か?」

「うちは“貸す”とは言わない。あくまで“買取”だ。だが返済が遅れたら、どうやっても回収する。矛盾?
そんなもの気にする人間は、この業界には残れない。」

元2社間ファクタリング会社社員・A氏は、静かにそう言った。

ファクタリング会社は外向けには“融資ではない”“貸金業法の対象外”を強調する。
一見すると、法の穴を突いた金融スキームだが、内側では驚くほど単純で粗い“与信”が横行していた。


■「与信はある? ないよ。詐欺かどうかだけ確認するんだ」

A氏が明かす最も象徴的な事実はこれだ。

本来あるべき“返済能力の審査”など存在しない。
あるのは、“架空請求書ではないか”という一点だけ。

実質金利換算で300〜800%が常態化するこの世界では、
「多少の事故が出ても、トータルではどうせ儲かる」という発想が根強い。

だからこそ、従来の金融機関のような与信モデルは不要になる。
会社の財務諸表? 正直、誰も真面目に見ない。

A氏曰く、

「正確な財務なんて、どうせどの中小企業も綺麗じゃない。
こっちが見るのは“詐欺かどうか”だけです。
一番困るのは“意図的な架空請求”だから。」


■“保険会社のふり”で取引先に電話 —— 架空請求書の炙り出し

架空請求書の確認作業も、実に裏技めいている。

実際にあった手法をA氏はこう語る。

「取引先へ『保険会社の調査です』とか『支払サイクル確認のため』と言って電話していました。
いきなり“ファクタリング会社ですが御社は支払いますか?”なんて聞けば揉めますから。」

つまり、ファクタリング会社は“正体を隠しながら”確認を取る。
狙いはただひとつ、“本当に取引実態があるのか”。

外から見れば合法ギリギリだが、内部ではむしろ“これをやらないと詐欺で死ぬ”という認識だ。


■「大口は取り立てるまで帰ってくるな」——回収・取り立ての実態

外では「買取なので返済義務はありません」
内では「返済はいつだ!」「大口は回収するまで帰ってくるな!」

この二面性は、ほぼすべての内部関係者が口をそろえて証言する。

A氏はこう語る。

「表向きは“返済義務なし”。
でも、社内会議では“返済計画”という言葉が飛び交っていました。
完全に貸金業のノリです。」

大口案件は特に厳しい。
大手の消費者金融が「延滞即アウト」なのと同じで、
ファクタリング会社も“高単価案件の焦げ付き”を最も嫌う。


■実質金利の高さが生む“目クラ貸し”文化

2社間ファクタリングでは、
「売掛の30%を手数料で差し引く」などが一般的だが、
年利換算すれば数百パーセントになる。

そのため、A氏が語るには

「多少の事故=焦げ付きは織り込み済み。
だから“目クラ貸し”的な案件も回す。
ただ、意図的な詐欺だけはどうしても避けないといけない。」

つまり、
業界全体が“高利で回収できる前提のビジネスモデル”で動いている。

普通の金融機関なら“貸していい企業か”を審査する。
だがファクタリングでは

「詐欺じゃなければOK」

たったこれだけなのだ。